お盆過ぎに ホラー特集

『Elevated』 『CUBE』のおまけ映画

 エレベーターに、返り血まみれの男が乗り込んできた。

「やばいヤツが外にいる。絶対に外に出るな!」

 と、男性は言う。


 乗客の一人は「オレは閉所恐怖症なんだ、誰が出るかよフ●ック」と、取り合おうとしない。「そんなにヤバイ状況ならさっさと出るべきだろJK●ァック」と、脱出を主張する。この男、ことあるごとに「ファ●ク」を連呼して、敵意を隠そうともしない。


 主人公の女性は、ビビりまくって誰を信じていいのか分からなくなっていく。

 たった二〇分の映画なのに、緊張感が半端ない。


 閉所恐怖症の男は出て、女性は残る。

 だが、天井裏からなんらかの圧力がかかり、エレベーターが開きかける。

 主人公は男の指示通り、最上階までボタンを押し、何者かを押しつぶす。

 だが、天井から落ちてきたのは、先ほどまで同乗していた閉所恐怖症の男だったのだ。

 とんでもないことをしでかしたと、主人公は錯乱してしまう。

 

 この映画、トラップだらけの迷宮に閉じ込められた人々の脱出劇を描いた『CUBE』の、DVDに収録されているおまけ映画である。


 もう、マイナー映画中のマイナー映画だ。


 信じた人の予想が外れて人が死に、周囲が疑心暗鬼になっていく『CUBE』も面白かった。集団心理の隙を突いた傑作だ。

 この作品は、登場人物を絞り込み、時間も短い分、『CUBE』より物語が洗練されていると言っていいくらい。構成が非常にシンプルなのだ。

 閉鎖的な空間に人を閉じ込めて、パニックに陥れる手法は見事。

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