『マザー』 超常現象VS楳図かずお

 楳図かずおの半生が、書籍化されることとなった。

 担当する新人編集者は、彼の過去を追うごとに、奇妙な現象に巻き込まれる。

 彼の母親が、事件に関わっているらしい。


 楳図氏の母親は、亡くなる前に、奇妙な話をした。

「自分の葬式に行った」

「親戚のところへも」


 新人編集は、楳図母の親戚をあたり、奇妙な妄想を見る。

 池の水を鏡代わりにしていた女性に、猟師が覆い被さるのだ。

 それは、楳図氏の記憶にも関係しているのだった。


 楳図氏の過去を調べていくうちに、身内や関係者が、次々と謎の死を遂げる。取材をした人までも。

 やがて、その手が楳図氏本人にまで及び……。


 楳図かずお役は片岡愛之助氏。

 美化しすぎかと思われたが、原作者の奇っ怪さが滲み出ている。

 

 監督・脚本・原案すべて、楳図かずお自らがメガホンをとった自伝的映画らしい。

 母親がすごく恐ろしい存在として描かれており、リアリティが半端ない。

「体温のある恐怖」というか、息づかいまで生々しい。


 一時期は、「妄想やで」、と病院で診断され、楳図氏は処置を施される。

 だが、母親はまだ成仏していなかった。友情出演の看護師しょこたんを殺す。 


 それに対抗するための楳図かずおの銃弾も非常に面白いので、ぜひご覧いただきたい。

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