『ワンダーウーマン』 だいたいアレスのせい

 アマゾネスの島に、英国兵が不時着。

 彼は毒ガス兵器の調査のためドイツでスパイしていた。

 戦争の火種は軍神アレスのせいだと、島で最年少の女性が大戦へ。


 マーベル作品ぽく紹介すると、

「キャップテン・アメリカの世界観で暴れ回るマイティ・ソー」

 みたい、といえばおわかりいただけるだろうか?


 しかし、ソーのように無敵の超人って分けではない。

 彼女は確かに強い。

 だが、アマゾネスも人間なので撃たれたら死んでしまう。

 現に、ワンダーウーマンの師匠も、島に乗り込もうとした軍人から主人公を庇って死ぬ。

 こういったリアリティが、実にDCらしいなと。


 また、タフな女性ではあるが、ララ・クラフトみたいな「精神的にも成熟している」わけではない。

 無知な女の子なので、剣と盾を持ってビルの中に入って窘められる。

 コートの下が半裸なので、服を着させようとしても激しく動いて破ってしまう。


 人間のいざこざが理解できず、あらゆる争いごとを「だいたいアレスのせい」と決めつけ、「アレスさえ死ねば戦は終わる」と、猪突猛進する。

 いい結果をもたらしはするが、人間の無力さや狡猾さに、彼女の精神はだんだんと疲弊していく。


 このように、彼女は未熟で欠点だらけだ。

 そういった描写を丁寧にするバランス感覚も、なんかDCらしいなと。


 脚本家の故ブレイク・スナイダーも「ララ・クラフトは映画の主役としてはクールすぎ。ユーモアに欠けていた」から、映画はズッコケたという。


 ワンダーウーマンの魅力は、無機質さのない、ユーモラスさと人間くささだと思う。

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