『桐島、部活やめるってよ』 神木隆之介くんの震脚に涙せよ

 バレー部のキャプテン「霧島」が部活をやめると話題に。


 お話は、謎の存在「霧島」を中心に進んでいく。

 彼は名前だけの存在でしかなく、人物像も想像するしかない。 


 面白いのは、神木くんが話に直接絡まないところだ。

 文化部の彼にとって、体育会系の話など、ぶっちゃけどうでもいい。

 実際、彼には全く関係のない所で、騒ぎになる。


 神木くんが演じるは、知り合いの少女と、映画館で偶然一緒になる。

 憧れだった少女と、ちょっとしたデート気分を味わう。


 翌日、スキップ感覚で教室に入ろうとした神木くんは、入り口前で足を止めた。

 ショックで、足を「ダンッ」と大きく踏みしめてしまうほどに。

 まるで伝説の拳法家「李書文」の「震脚」を思わせる、音の響きっぷり。


 教室で、えげつないモノを見てしまったからだ。

 童貞が一番見てはいけない現場を。

 

「それはアカン」と、見ているこっちが思ってしまった。

 わかるけど。でも、ちょっとなぁ。あれはないよなぁ……。


 まあ、そこから彼の心境はガラッと変わり、自身の我を通すことになる。


 この映画は、よくある

「不器用な思春期の青春」

 といった、安っぽい表現では語れない。


「みんな、こんな経験あったよね」といった現実味。

「本当は、こうありたかったよね」といった理想像。


 この相反する感情が、ラストでぶつかり合ったような感じがした。


 見終わった後に、いい意味で「頭にモヤモヤができる」映画。

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