『ザ・サークル』 ラスボスはトム・ハンクス

 ハーマイオニーちゃんが、自分の私生活を全世界に配信する話。

 いわば、21世紀版の『トゥルーマン・ショー』だ。


 ジム・キャリーは、無自覚に生活をしていた。

 エマ・ワトソンの方は、自発的に私生活の暴露に協力している。


 会社側は、ビー玉サイズの監視カメラを開発し、世界中に設置して人々を監視するというシステムを進めている。

 アカウンタビリティ、つまり「説明責任」を個人も持つべきだという考えからだ。


 最初は私生活を勝手にのぞき見されて、いらぬお節介を受け、うんざりしていた。「カヤックくらい一人で行かせろよ」と。

 だが、難病を患う父親の世話をしてもらった辺りから、彼女は周りが見えなくなっていく。

 また、深夜カヤックを勝手に漕いで転覆したところを救助され、社の方針に逆らえなくなる。

 隠居した開発者の言葉も聞かず、「我が社の理念は正しい」と思い込み始めてしまった。


 しかし、両親の夜の営みが世界中に配信されてしまう。

 さらに、友人があらぬ汚名を着せられ、世間の反感を買うことに。


 彼女はショックを受けながらも、会社の意志に従う。

 我が社の技術は、きっと世界を変えてくれるはずだと信じて。


 アカウンタビリティが進めば、全国民を投票に参加させることも可能だと、彼女は主張する。


 やがて技術は発展し、犯罪者を20分で見つけ出すシステムまで完成。

 それが最悪の悲劇を招くことなど予測もできず。


 デイヴ・エガーズなる人物の書いた同名小説が原作。

 ベビーフェイスの主役ばかりを演じるトム・ハンクスが悪役に回るという、珍しい映画だ。

 しかも、まったく悪気がない偽善者という、最悪のタイプ。


 彼に対して、ハーマイオニーちゃんがどう対決するのかも見所である。

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