『セッション』 ジャズ界のハートマン軍曹

 鬼軍曹のコーチに必死でついて行くドラムヲタの苦悩、挫折と、それを乗り越えていく様。


『響けユーフォニアム』+『フルメタル・ジャケット』のような内容。


 コーチの指導はえげつなく、夜中の二時まで血が滲むまでドラムを叩かせ続ける。

 ついでにシンバルが空を飛ぶ。

 かのチャーリー・パーカーも、若手時代にドラマーからシンバルを投げつけられたらしいが。


 ちなみに、元の題名は『Whiplash』というらしい。

 主人公が演奏する曲のタイトルだ。

 なるほど、弟子にムチ打つという意味もあるだろう。


 ラスト数分で、教師は主人公に対して最悪な仕打ちを与える。

 しかし、その後の主人公の乗り越え方が素晴らしい。

 ラストは「素晴らしい」という意見と「わけわからん」という意見があるという。


 めちゃめちゃ面白かった。

 この映画はシナリオは一本道なのだが、ちょい文学的で、ひらすら泥臭い。

 主人公と鬼コーチの「内面葛藤をぶつけ合う」話である。

 つまり「演奏によって何かを勝ち取る話」ではない。

 だから感動するし、外的葛藤が解消される話を求める人には受けない。

 ここを間違えると楽しめないかと。


「ちゃんとした映画」や「綺麗な映画」が好きな人には勧めない。

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