『天才スピヴェット』 超インドア派のトムソーヤ

『アメリ』を製作した監督の作品。

 俺が通う小説講座にある映研で教えてもらったもの。


 田舎に暮らす天才少年が自分の発明成果をスピーチしにワシントンへ向かうロードムービー。

 それだけ聞くと、けっこう明るい話だし、実際コミカルな展開で楽しませてくれる。

 事実、電車の車両に積んである看板に化けて警官をやり過ごす場面など、ユニークなシーンで笑わせてくれる。


 だが、実際に語られる内容は重い。


 父の影響でカウボーイに憧れる弟が、銃の暴発で死ぬ。

 弾速を計算していた主人公は、弟を失ったのは自分のせいだと自分を責めている。

 家族も自分を阻害しているのではないかと思っている。

 誰一人、自分を認めてくれていないのではないかと。


 そのいきさつを話したとき、科学者達に大受けし、アメリカの有名トークショーに招待されるほど。


 家族ドラマの中に、科学的要素があちこちに散りばめられている。

 その仕組みがとてもうまい。

 科学的考察を小説内のドラマに落とし込もうとしている人にオススメ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る