『ストーカー(1979年のソビエト映画)』 ボクには、ゾーンしかないんです!

 ソビエトのとある封鎖された地区「ゾーン」を目指し、学者と作家を案内するストーカー(案内人)の話。

 ストルガツキー兄弟による小説『路傍のピクニック』を原作とし、アンドレイ・タルコフスキーが監督した作品。


 後にゲーム化された作品の原作(映画の原作は小説だが)。

 ゲームでは罠を探知するため、ナットを何個も投げ捨てる。が、映画ではナットを紐でくくり、投げては回収している。

 SF作品であるが、ゲームに出てくるような軍隊もクリーチャーも出てこない。

 出てくるのは、せいぜい序盤の秘密警察のみだ。

 だが、出発前ではセピア色だった画面が、ゾーンに侵入した途端カラーに変わる演出は面白い。


 主人公はゾーンにある「何でも願いが叶う部屋」へと、二人を案内する。


 が、「願ってくれ」と頼んでも拒否される。

 むしろ、二人は部屋の事実を知り、その存在を拒絶するために来ていたと分かる。

「それではオレの存在意義がないじゃないか! オレの居場所を奪うな!」

 と、主人公はブチ切れる。


 この映画は

「普通の生き方ができない人間の悲哀」

 を描いた作品だったと分かった。


 番組に「職業:サスケ」とまで評され、

「ボクにはサスケしかないんです!」

 と涙ながらに語っていた鉄工所アルバイト、山田勝己を思い出す。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る