『アフタースクール』 高須院長の言葉の真意は? 

 大泉洋扮する教師が、失踪した友人を探す。

 友人は出産したばかりの妻を残して、主人公の高級車を借りパクして身を隠した。

 友人失踪には女の影も見え隠れする。

 ヤクザや巨大企業も動き、いよいよ物語にまとまりがつかなくなる。

 

 だが、中盤にさしかかると、途端に物語がひっくり返る。


 きっと視聴者も、「なんじゃこりゃあ!?」と驚愕するに違いない。


 いいなぁ。これは騙された。

 ひっかかったのに清々しい気持ち。

 後に調べたら、監督が『鍵泥棒のメソッド』の内田けんじ氏だった。

 納得。


 主人公を引っ張り回す悪党は、世の中がつまらないと度々口にしていた。それにより、主人公と決別する。

 ラスト、世の中を斜めに見て、ひねくれた犯人に向かって、主人公である大泉洋は言い放つ。


「アンタみたいな人、クラスに一人はいるんだよ。

 全部解ったような顔して勝手にひねくれて。

『この学校つまんねー』だのなんだの。


 あのなぁ、学校なんてどーでもいいんだよ。

 お前がつまんないのは、お前のせいだ」


 このセリフ、聞いたことがなかろうか?

 それのつい最近、これに近い言葉を口にして、炎上した人がいる。


 そう、高須院長だ。


「自分の人生は自分で切り開ける」と、高須院長はつぶやいた。

 だが、若者たちには通じない。どうにもならないと、返される。

「誰かがなんとかしてくれるのを期待するな」

 と反論しても、同じ事だった。

 

 とはいえ、高須院長のセリフは、まんざら間違ってもいないのだ。


 メンタリストDaiGoの動画に、そのヒントはあった。


「人は、自分の不幸を他人のせい、世の中のせいにしていると、

『自分の力ではどうすることもできない』

 と、思い込むようになってしまう。なんの努力もしなくなる。

 自分の不幸は自分のせいだと考えれば、

『だったら自分の力でなんとかなるじゃん』

 と考えるようになり、ポジティブな思考になれる。

 人に頼らず、自分で自分の生活を変えられる」


 映画のセリフも、高須院長のセリフも、このような意味を含んでいるのではないだろうか。

「自分の不幸を環境のせいにしないことの大切さ」

 こそ、この映画が伝えたかったことではないだろうか。

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