『帰ってきたヒトラー』 諸君、私はTVショーが好きだ 

 2014年に蘇ったヒトラーが、コメディアンと誤解されながら、人々を再びナチス主義へ扇動していくコメディ。

 

 内容は、よくある偉人タイムスリップコメディ。

 

 ネットに没頭したり、カルチャーショックに戸惑う様を愉快に描く。

 とはいえ、「こんな世界で子どもを産みたいか?」とTV番組で宣言したり、人心掌握術に長けている所もある。

 このリアリティの出し方が非常にうまい。


 総統閣下シリーズのパロがある事で有名。

 厳密には、映画『最後の一二日間』のパロ。

 総統閣下が演じてないので楽しさは半減するが。


 リアルなインタビューシーンがあるのも有名。

 本当なのか嘘なのか分からない構造になっている。

 がちで若者に絡まれたり、自身の理念を延々語り出す人がいたり。

 そんな相手にも、総統閣下は真っ向から受け止める。

 演者の肝の据わった演技には、頭が下がる。


 ちなみにヒトラーの吹き替えは、平野耕太氏の漫画『HELLSING』で少佐を演じた飛田展男氏が担当している。


 これは、最後まで見て欲しい。

 今までのコメディタッチの手法がガラッと変わる怖い一面が覗く。

 最後まで見たらきっと「うわあ」となるように作られている。

……ブラックが過ぎて評判は悪いけど。


 小説版もめちゃめちゃ面白いらしい。

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