第7話 願望
Side トオル
誰だろう。
ユキの好きな子って誰だろう。
気になる。
「あのさぁ、ユキの好きな子って…」
「だめ!トオルにはゼッタイ教えない!」
なんでだよ。
あの子かな?あの子だろうか?
相手には好きな人がいると言っていたな。
まさか?
「トオル、トオル」
ユキの呼ぶ声でハッとした。
いつの間にかぼーっとしていたらしい。
「もう終わったけど」
宿題のプリントをヒラヒラさせる。
「早く終わっても合ってないと意味がない」
そう言ってプリントを取って見てみる。
「合ってる。」
「ヤッター!トオルに勝った」
ちょっとしゃくに触って
「偉いな」
くしゃくしゃとユキの頭を撫でた。
「子供扱いするなよ。それに僕の方が何ヶ月かお兄さんだったはずだけど」
膨れてみせるのも可愛い。
こんな何気ない時間がとても嬉しい。
夢見てたんだ。
春には桜並木を歩き、夏は満天の星空を眺め、秋の紅葉、冬の雪景色。
今までも一緒だったけど、恋人として隣にユキが笑っている。そんな光景を。
ちょっとくらいいいよな。
「早く終ったご褒美に明日、パフェ食べに行かない?」
「もちろん、トオルの奢りだよね?」
学校の近くの住宅街に新しく出来たカフェ。
一見、一般の住宅に見えるそれは隠れ家的で密かな人気らしい。
二階の窓際の席に座った。
まさか、外から見えているとも知らずに。
本当はパフェはちょっと甘くて苦手だ。
でもユキは大好きだ。
「トオルのも頂戴」
無意識に、本当に無意識にスプーンですくってユキに差し出した。
まるで、あ〜んとするように。
「また、子供扱いする」
ふてくされように言いながらもパクリと食べる。
もういっかいと強請られるままスプーンをすすめた。
「はい。お返し」
そう言ってオレ口にスプーンを差しこんだ。
夢だったんだ。
Side ユキ
トオルに言ってしまってから後悔した。
興味津々という顔で見てくる。
「あのさぁ、ユキの好きな子って…」
「だめ!トオルにはゼッタイ教えない」
言えるわけないじゃないか。
トオルはふてくされたような顔をして何か考えているようだ。
視線が痛い。
何もかも見透かされてしまいそうで怖い。
気づかないふりをしてひたすら数学のプリントにむかった。
あれ?
なんだかスラスラ解ける。学校でトオルが教えてくれた問題だ。
「トオル、トオル」
呼ぶ声でトオルがハッとしたのがわかった。
「もう終わったけど」
宿題のプリントをヒラヒラさせる。
「早く終わっても合ってないと意味がない」
そう言ってプリントを取りあげられた。
「合ってる。」
「ヤッター!トオルに勝った」
「偉いな」
喜ぶ僕の頭をくしゃくしゃと撫でられた。
「子供扱いするなよ。それに僕の方が何ヶ月かお兄さんだったはずだけど」
膨れてみせるのけどまるで相手にされない。
こんな何気ない時間がとても嬉しい。
夢見てたんだ。
春には桜並木を歩き、夏は満天の星空を眺め、秋の紅葉、冬の雪景色。
今までも一緒だったけど、恋人としてトオルの隣にいるそんな光景を。
「早く終ったご褒美に明日、パフェ食べに行かない?」
ドキドキした。
いいの?本当にいいの?
ちょっとくらい夢見ても良いよね。
「もちろん、トオルの奢りだよね?」
下心ありの笑顔で言った。
連れていかれたのは学校の近くの住宅街に新しく出来たカフェ。
一見、一般の住宅に見えるそれは隠れ家的でデートスポットとして女子たちの話題になっていた。
デートの下見?なのかな。
多分そうだよね。
でも良いよね、今日だけ。
甘えても。
「トオルのも頂戴」
自分のスプーンでトオルのパフェをすくおうとしたんだ。それなのに、トオルが自分のスプーンですくって差し出してきた。
まるで、あ〜んとするように。
どうしよう。ドキドキしてきた。
「また、子供扱いする」
ドキドキがバレないように、ふてくされように言いながら食べた。
本当に嬉しかったんだ。
だから、もういっかいと強請ってみた。
仕方ないなぁと微笑みながらくれた。
トオルが頼んだビターチョコのパフェはほろ苦い味がした。
「はい。お返し」
そう言ってトオルの口にスプーンを差しこんだ。
夢だったんだ。
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