第4話 キスの練習
Side トオル
他人の心地良い体温で目が覚めた。
オレの胸にしがみついてユキが寝ている。
こういうところは子供の頃と変わらない。
暗闇は怖いから寝る時も電気はつけたまま。
一緒に寝る時は懐に潜り込むようにして寝る。
一緒に寝るのは何年振りだろう。
涙の後?
どんな夢を見ているんだか。
静かに体を離そうとしする。
ヤバイ。
ユキの首筋に赤い痕がある。
ダメだ。昨夜のイタズラがバレてしまう。
どうしたものかと考えていると、ユキが目を覚ました。
「おはよう」
「怖い夢みていたのか?」
涙のあとを指で触る。
オレの手を払って起きようとするユキを押し倒した。
「ユキ、キスさせろ」
「はぁ〜?」
ユキが素っ頓狂な声を上げる。
「いや、キスの練習させて」
キスが下手なのは男のこけんに関わる。
なんて下手な言い訳をした。
困ったような顔をしてユキがギュッと目を瞑った。
唇も真一文字に噛みしめている。
「あのさぁ」
そんなんじゃ、キスできないだろう。
と、首筋の赤い痕を吸った。
あっ!と小さな声をあげる。
「好きだよ」
囁きながら唇、頬、首筋へとキスをする。
首筋から肩口へと唇を這わせた時、
「や…だ…」
ユキの震える声がした。
慌てて離れた。
「ごめん…」
朝ごはん作るからとキッチンへ逃げ込んだ。
上手くごまかせたかな。
でも、嫌われるよな。きっと。
「ギャー!」
洗面所からユキの悲鳴が聞こえてきた。
「ト、ト、トオル!」
バタバタバタと足音がしてユキが駆けてくる。
「なんだよこれ!」
首筋の赤い痕を指さす。
「さっきつけたキスマーク」
わざとらしく言うと、口をパクパクさせる。
そんな姿も可愛いと思ってしまう。
部活に行けないと言うユキに
「ご飯食べたら、今日は数学の課題をやろうな」
と、言った。
恨めしそうにユキが睨んだ。
Side ユキ
目が覚めるとトオルの顔があった。
一緒に寝るのは何年振りだろう。
「おはよう」
「怖い夢みていたのか?」
トオルが涙のあとを指で触る。
その手を払って起きようとするといきなり押し倒された。
「ユキ、キスさせろ」
「はぁ〜?」
自分でも思いがけず素っ頓狂な声がでた。
キス、キスってキスだよね。
「いや、キスの練習させて」
キスが下手なのは男のこけんに関わるからと言う。
トオルとキスができるのは嬉しいけど・・・
目をギュッと瞑って唇を噛みしめた。
「あのさぁ」
そんなんじゃ、キスできないだろう。
と、首筋を吸われた。
あっ!と小さな声をあげる。
「好きだよ」
囁きながら唇、頬、首筋へとトオルがキスをする。
自分を好きなのだと勘違いしてしまいそうだ。
誰とこんなキスをするの?
首筋から肩口へと唇をが這った時、
「や…だ…」
声が震えた。
慌ててトオルが離れた。
「ごめん…」
朝ごはん作るからとトオルがキッチンに行ってしまうと涙がでた。
トオルが誰かとキスをするのは嫌。
誰かの代わりにキスされるのは嫌。
言えないよ・・・
嫌われるよね。きっと。
洗面所の鏡を見て驚いた。
首筋に赤い痕がついていた。
「ギャー!」
悲鳴をあげてしまった。。
「ト、ト、トオル!」
バタバタバタとキッチンへ駆けて行く。
「なんだよこれ!」
首筋の赤い痕を指さす。
「さっきつけたキスマーク」
悪びれることなくトオルが言う。
言い返したくても何も言えずに口をパクパクさせる。
「こんなんじゃあ部活に行けない」
と抗議すると、
「ご飯食べたら、今日は数学の課題をやろうな」
と、ニヤリと笑われた。
そんな姿もカッコイイと思ってしまう。
あ~あ。悔しいなあ。
恨めしそうにトオルを睨んだ。
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