第68話 リーガ開幕
リーガーの開幕戦が始まった
これから長い戦いが始まる。リーグ戦をはさんでカップ戦とCLの予選があるので、控えである自分にも出番はある
開幕戦はベンチスタートだった。
対戦相手であるべアティスは例年中位圏のクラブである。チーム内のメンバー入れ替えの影響が少なからず出ていた。コンビネーションに不安を抱えていたチームは0-0のまま後半30分を迎えた。監督から声が掛かった1点勝負なので、FKでの得点を期待したいのだろう。
公式戦は1年以上まともに出ていない久しぶりの緊張感が漂っていた。深呼吸してボールを要求する。ワンタッチでボールを返して感触を確かめる。久しぶりだが行けると思った。フラフラとスペースを漂いながら、ボールが来るのを待つ。CBから縦に早いボールが入ると振り向き様にドリブルを開始した。斜めの方向にペナルティーエリアを目指して両足でタッチしながら進んで行く。後ろから軽いボディコンタクトを受けた俺は簡単に倒れた。運よくファールの笛が鳴るとボールをセットしてFKの準備をした。
やや遠い位置ではあるが、得意の角度だったので、直接狙う事にした。毎日練習で蹴っているボールは嘘をつかない。蹴った瞬間に入る感触があった。弧を描いてネットに吸い込まれるボールと共にシーズン初ゴールを決めた。それからは無我夢中でボールを追いかけ、蹴りだし気が付いたらゲームが終了していた。ゲームのMVPを取る事もできた。
初戦での決勝弾は僕をスターへの道を駆け上らさせた。
10節終了時点で7得点を記録した僕は『フェノメノ』『奇跡のカムバック』などとマスコミ各社は報じていた。ポストに当てる技は『ポストクラッシャー』と名付けられ、例の動画と共に大評判となった。
「スターの通訳はすごいわね。連日連夜取材の嵐よ」
アリーシャさんは忙しそうに手帳を見ながらそう語った。
「矢口の方はどうなんだい結構点は取ってると思うけど」
「あっちはマスコミが嫌いみたいで出てこないわ。貴方ほどの背景がある訳でもないしね」
「ところでファンタシーの幹部は御子神君を試合へ出したいみたいよ」
「それで幹部からの呼び出しという訳ですか」
「3人ともね契約を見直したいそうよ」
俺は矢口と御子神を途中で拾って事情を話した
「御子神はレアルで試合でたいか?」
「当然だろ1部で出れるチャンス潰したくないよ」
「俺達にも代理人が必要な時期なのかな」
「代理人関係は確かのぞみさんがやっていたぞ」
そう矢口が呟いていた
ファンタシーの幹部と会った
「ちょっと早いが契約の更新を打診したくてね」
そう言って仮の契約書をみせる
「高橋君には5年60億くらいで考えている」
「矢口君は5年100億くらいかな」
俺よりも矢口は高いが、俺はポンコツで何時怪我するか分からないからこのぐらいの物なのかも知れない
「御子神はレンタルなので、2年6億くらいじゃの」
契約書を預かると早速伝えた
「うちの代理人に聞いてみますわ」
早速俺は懐かしの鳴海クラブへ電話を掛けた
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