第4話 学校での1日
さて、木曜日の今日は午前中で授業は終わりだ、その後に東京に行かなければならない。
えーと部活の朝練は個人が自主的にやる事になっている。ママチャリ自転車で1時間走る事によって心肺機能と姿勢を強制している。ママチャリで姿勢を直す為にかなりハンドルの位置は高い。かっこうは悪いが姿勢を直す為と割り切って貰っている。もちろん身長と座高などのデータから判断している。
朝の朝礼が終わると俺は直ぐに教頭に休職の件について相談した。
「教頭ニュースの件なんですが、U23日本代表のユース監督を引き受けようと考えています」
「そうか、引き受けるのか、退職届はいつ出すんだ」
「退職ではなく、休職願いを出したいと思います」
「それは無理でしょう」
教頭は困った顔をしながら俺を見下した目で仰った
「だって、高校サッカー連盟とかは、あなたを寄こせってうるさいのよね。臨時職員の問題もあるし建前上は休職扱いに出来るけど学校には戻って来れないと思って」
こんな風に言われるのはとても悲しい現実だと思う。
休職したら戻れないと教頭はいっているのだ。
俺だってこの学校の生徒達やら、PTAの両親とかに結構評価されてるんだけど悔しいな。
そう思っていたら、校長が現れて俺を呼び出した。
「さっき教頭先生が言った事は気にしないで良いから」
そう言って手の平を下げてソファーに座るように促した。
「僕も教頭もわかってるんだ、君のおかげで生徒数が増えたことくらいはね」
そう言いながら、校長先生はあごひげに手を当てる
「ただ我々はいいんだが生徒がね、半年待って帰ってこないと知らされたらどう思うだろうか」
実際問題として生徒の事をいわれると"ぐう"の音もでなかった。
「私はオリンピックの監督も学校の監督も両立出来ると思ってます」
「確かに出来るかも知れない。でもそれでオリンピックで負けたら、うちの生徒の面倒を見ていたから負けたと責められる」
「それはそうですが……」
「負けて帰ってくる場所なぞ無いと思って行って欲しいのです。生徒は何とかしますし、もし戻って来ても何とかしましょう」
校長がそこまで見てたなんて…、単なる禿だと思って悪かった。そう俺は心の中で謝罪した。俺の中で禿の方への好感度が上がった。
午前中の授業を終えたおれは早退した。待ち合わせの局の中の喫茶店Mへ颯爽と向かった。
電車の中で色々考えてしまった。記者会見をする時点でおれは就任する予定でいた。だが、今日の校長先生の話で少し迷ってしまった。まぁ、教え子でトレーナに雇っても良いと言ってくれる奴も要る事だし再就職はどうにかなるかな。
途中で電話を取り決心を伝える為に早速学校へ連絡した。校長に取り次いでもらった後に俺の真意を伝えた
「校長先生俺、オリンピック行ってきます。横断幕準備して置いて下さい。その後はどうなるか解りませんが、一度は絶対に学校に戻りますから休職させてください」
「わかったよ何も言わないから悔いのない様に行ってきなさい」
少し涙が出そうになった。また、俺の中で禿の人達への好感度が上がった。
"ガー"となる自動ドアを潜り抜けて俺は喫茶店Mへ入った
そこにはすでに佐藤のぞみが座って手を振っていた。
俺は彼女の合い向かいに座りコーヒーを頼んだ。
「どうもお待たせした。すみません」
「いえいえ大丈夫ですよ。こうして休憩も取れてますから……」
アナウンサーの様な仕事はなかなか休憩が取りづらいんだろうなと他人事の様に思った。
「それで、あのえっと……」
美人の前では意識してしまうと緊張してしまう。特に胸の大きい女性がこれでもかと薄着で来られると目のやり場に困る。
「ああ、この間先生の教え子の山田さんにインタビューしたんですよ。そしたら、先生にフォームチェックして貰うって言ってましたよ」
そんな風にさりげなく世間話をリードしてくれる佐藤さんに俺の好感度が上がっていく。
「あいつがそんな事言ったんですか、フォームみていることは内緒にしとけと約束してたんですけどね、現在の監督やコーチがいい顔しないでしょう」
そう言いながら美人の顔は正面から見れない俺はやっぱり女性が苦手なんだなと思う
「先生からみて山田君はどのフォームがおかしいんですか」
そんな事を聞いてきた。さすがニュースキャスターだ質問が上手い。
「まぁ、あんな高いレベルのリーグでやってますので、私が言うのもなんですが、きっとプレッシャーが掛かった時にシュートする瞬間に腰が閉じるのが早いんです。少し力んでしまうのでしょう」
そんな感じですまし顔をしながらコーヒーを飲み答えた。
「今日の会見ですが当社で何社か声をお掛けしましょうか」
そう言いながら俺の経歴が掛かれたリストをテーブルへ置いた。
「えーと、そうですね、会見はきっとサッカー経験が無い奴が代表監督になるなんて生意気なと言う奴を黙らせるのにコートがいいですね。フットサルでもサッカーコートでも」
わかりましたお待ちください。というと佐藤のぞみはノートパソコンを持ち出して調べはじめた
「都内のこのコートでしたら取れますから、此処で良いでしょうか今日の21時でどうでしょうか」
仕事できるよ。この人すげーわと感心してしまった。
「ええ、それでお願いします。声を掛ける処はお任せします」
そう言って彼女に手を差し出して握手した。そんな時に手が汗ばんでいたが、俺はちょっと緊張しただけだと自分に言い訳をしておく。
指定されたフットサルコートに一足先に向かい。ガラガラのベンチへ座って芝のコートをみる。
サッカー、フットサル、フットボールなどと呼ばれる足を使う競技は複数ある。
世界で一番競技人口が多いと言われるスポーツであり、この世界でプロとして生きていくことは選手にしろ、監督にしろ、難しい事だと言わざるを得ない。
そんな世界に素人の俺が飛び込み代表の監督をやろうとしている。それがどれだけ異常な事か?記者会見は賛否両論だろう。今から質問の準備をしなければいけない。
渡された質問を見て考えている。さぁ会見だ。
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