Act.18[最後の夏休み二十六日目]
いよいよ明日、か。もう少しで、あと少しで水郷村から離れなければいけない。いや、離れたくない。みんなと一緒にいたい。そう漏れは嘆いた。
でもお母さんが行くとしたら漏れも行かなくちゃならない。女手一つで育ててくれた。だから、だから行かなくちゃならない。
どんなに不安でもどんなに辛くてもこの水郷村を忘れずまいと村を歩いた。
初めて虎彦と会った所、鬼ごっこした道、先生に叱られた畑。皆それぞれ漏れの思い出。
皆の思い出。
明日が来てほしくない。明日に行きたくない。今日が一生続いてほしい。でも、時は動き続ける。止まることは無いんだ。
母
「いよいよね」
清行
「うん。漏れ、行きたくない。でも行かないと行けない。どうすればいいか分からない」
母
「うーん、たまに戻ればいいんじゃないかしら?」
清行
「そうだけど、離れたくないんだ。離れたら2度と……2度と会えなくなっちゃう気がして…。水郷村が消えちゃうような気がして…」
母
「あはは。消えるわけないでしょう?村なんだから」
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