第4話 古本屋事始め

 さて、話は少し時を遡り、古本屋開業のセミナーを終えてまもなくの頃、


 古本屋になることを決心した僕は、さて、何から始めようか? と、思案した結果、まず本を集めることから始めることにした。


 古本屋を開業する人たちはの多くは、自分の蔵書もふくめて事前にある程度の古本を用意していて、さて開業となるらしい。らしいというのは、僕は古本屋開業に際して指南書を何冊か読んでいた。表現の差異はあるにせよ、いずれの指南書にも大方そのように書いてあった。


 僕はというと、セミナーに参加して古本屋開業を決意したは良いが、販売する古本など用意してあるはずもない。

 無計画さを反省してはみるものの、なかば思いつきで古本屋開業を決意したようなもの……手元に販売する古本がないのは当たり前だった。


 僕は古本を『買取』と『セドリ』という方法で仕入れていこうと考えていた。参考とした指南書には、本を集めていく上で古物商の免許の重要性が説かれていた。そのこともあり、僕は古物商の免許を取ろうと思っていた。

 しかしこの古物商、取得までにかなりの時間を要することになるとは最初のころはまったく予想していなかった。

 その顛末はいずれ機会があれば詳しく触れたいと思う。


 ということで、古物商の免許の取得に手間取ってしまった僕は、しばらく「セドリ」で古本を集めることになった。


 いま僕の本棚に眠っている古本の多くは、このセドリで仕入れたものだ。足を使って探した作品たちは、売り物から今ではぼくの大切な宝物になっている。

 そしてこの頃仕入れた古本の一冊が、思いがけない作家との再会へとぼくを誘ってくれようとは。そのときは思いもよらなかった。


 さて、肝心の古本探しをまずセドリから始めた僕は、次に“店舗”となるwebサイトの制作に取りかかった。


 セミナーに参加した『○ー○ー源氏』でも、webサイトで販売するサービスを提供していたので、その他諸々のサービスも含めて、利用することは決めていた。

 しかし、“お店のホームページ”として『○ー○ー源氏』のサービスを見たとき、若干心もとないと感じていた僕は、何か手頃で見栄えの良いECサイトを制作できるサービスはないかと考えていた。


 イロイロと思案した結果、僕は『◎ちゃ◎◎ネット』というサービスを利用することにした。お店のホームページ兼販売サイトとして『◎ちゃ◎◎ネット』を利用し、サブの販売サイトとして『○ー○ー源氏』のサービスを利用していこうという計画だ。

 当時はWEBに詳しくなかったので、デザインテンプレートが豊富だったことも『◎ちゃ◎◎ネット』を利用する決め手となった。


                   ◇


 サイトを作ることを決めてから、僕の生活は一変した。


 古本屋開業が、リアルな現実として僕の心を支配した。

 僕はどことなく高揚感に似た感情に溺れ、その頃は成功する未来だけしか見えなかった。


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