8月23日 生き残りを賭けた戦略

※「アテナイから」は、そのまんま書くとまずいことを変えたり、人物モデル設定を借りてきた部分もあり、毎日の俺のノンフィクション記録ですが、自分が感じたり思ったりしたことを単純にストレートに推敲なしに書き連ねた忘備録なので、事実と異なると思われる記述については、(……へ〜、本当なんだろうか?)と、適当に読み流して各自でご判断ください。


 「そんな荒唐無稽な話を普通に信じる人がいるの!?」


 ……とこの間、言われたんですが、俺の周りの人は、だから混乱するんだろうと思う。


 俺、いないことになってたりする。まあ言わば、幽霊に出会っちゃったような気持ちになるのか??めちゃくちゃ会話が噛み合わないし、俺をきちんと認識してる人も、たまに支離滅裂なことを言う。


 具体的には、俺が「実在しない存在」のように扱おうとして、話す前提が「俺が実在する」ことになってないと、成立し得ない意見を言ってたりだとかね。


 人って、自分の理解を超えてることは一切理解できないのだと、よくわかる。


 だんだんめんどくさくなってきて、早くびいの件を解決して、自分の世界に戻りたい。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 とにかく、王子くんの言うように俺たちは注意するべきだろう。

「びい、絶対そんなこと、家族ぐらいにしか言っちゃダメだ」王子くんは、それだけを短く返信し、それだけで会話は終わった。びいは王子くんに「ワクチン打っちゃダメ!!」とメールして、王子くんは「打ってないし、打たないよ」と返してきた、その直後だった。


 王子くんのお父さんは警察関係のOBだからな。警察が身内にいるお姉さんとは、いくら連絡しても、連絡がつかなかった。最後に話したのは、娘さんが医療従事者で現場がまずいと言うことだけだった。お姉さんは身内が医療従事者だから、コロナを感染させる可能性があるから会えない、と言っていた。


 びいの主治医だった歯医者さん、息子さんが医院を継いだが、その歯医者さんのお父さんが危篤かという段になり、びいは半泣きで一緒にお見舞い行きましょう、と元の従業員であるお姉さんに連絡を取ろうとしたが、無理だった。お姉さんは歯科衛生士な。びいにとって年上の人は皆、お兄さんかお姉さんだ。年上じゃなくてもそう。別に血が繋がってるわけじゃないよ。お姉さんは電話もメールも出なかった。どういうことなのかはわからなかった。実家の電話は不通になっていて、よくわからない。あのお姉さん、原発事故の時、海外避難を真っ先に考えた頭のキレる人だったから、びいも落胆が激しかった。


 びいと仲良くなれる人は頭の良い人が多かった。だから福島の件の時もかなりまずいと知ってる人が多かった。実際に海外に飛んで避難した人もいたし、原発がまずい度に関東から沖縄に逃げていた人もいた。それがこのワクチンの件については、びいは自分のことで精一杯だったため、というか、びい自体が既に死んだ人のようになっているため、それどころではなかった。


 原発のことをよく知る人は、ワクチンについても詳しい。当たり前だが。俺もびいもワクチンのことはほぼ発言していないため、福島の事故当時、俺たちの情報を頼ってきた人から、最近にも連絡がたまにあり、ワクチンについて何か情報はありませんか、と。それで俺達ものんびりしていたらまずいかと思い始めた。正直この件については、答えは簡単、対策もある意味、放射能よりもずっと単純で簡単だったため、世間がこんなふうに動いていったことについて、とても驚いていた。


 放射能は平等に降り注ぐが、病原菌は地理的に言えば避けやすいし、ウィルスというのは簡単に死滅するので舐めていた。アルコールで簡単に死滅するウィルスなんて怖くないじゃん。エアロゾル感染、空気感染するにせよ、人と接触が少ない自分達はそうそう怖くなかった。そもそも、もう二度ほども、既にかかった可能性はある。ごく最初に中国から入ってきてすぐ、俺たちは不気味な風邪を引いていた。長期に渡って。あれがそうだったのかもしれないと思うにつけ、大したことないじゃん、と。


 そもそも、俺は全く身体にこだわってないから関係ないしな。生まれ変わるし、そもそも時間軸をホッピングする以上、ここの身体にそうこだわりはない。


 コロナに感染したかもということについては、フランスのびいの旦那も同じことを言っていた。初期に既に、二度ほどかかったかもしれない、と。が、味覚異常などは起こらなかったために、確証はない。


 そもそも、PCR検査はカンジタでも反応する。常在菌であるカンジタの保菌者なんて石を投げれば当たった人は全員そうだろう。カンジタといえばHIVを思い出す。ほぼ全員が持ってるようなそんな常在菌が、HIVを発症してしまえば脅威になる。日和見感染ってやつ。この点で、コロナというのは、ある種、空気感染するAIDS、生物兵器として武漢の研究所でデザインされたんじゃないかという説は、なるほどと感じてしまう。


 PCR検査はおまけに遺伝子配列に寄っても反応するらしいとも聞いていて、だったらほとんど反応するだろ、と。コロナウィルス自体がありふれ過ぎてる菌だ。PCR検査はそれ以外の病気でもいくつか5〜6個は反応する。熱が出てPCR検査したらコロナでした、なんて言って、隔離してたら、病院パンクして当然だよ。もしかしてほぼ誰でも陽性反応が出るんじゃないか。無症状でも隔離って、ほとんど謀ってるレベルということに気づいた俺たちは、なーんだ、と。ただ、Sarsであることを思えば、そりゃあ発症したら息が苦しいだろう。それももちろん、持病がある人はとても不利だ。Sarsとありふれたコロナウィルスをセットにして、敗血症とか脳出血とか血栓ができやすいものも一緒に。そうしたら今の新型コロナになるというわけか。わけがわからない怖い病気という触れ込みだが、人が倒れるとかいうのは、血栓だろ。心筋炎とかな。筋注の注射が静脈だと心筋炎発症するから、逆血確認しないとダメだ。


 パイロットなんかに打たせたら、高度だと気圧の関係でものすごくまずい。パイロットが業務の真っ最中に脳の血管とか心臓の血管とか詰まらせたらまずいに決まってる。パイロットにこのワクチン接種なんて、考えただけでまずいだろ。だとしたら、なんで打つの? むしろ危ない。強制する理由はなんなんだよ。コロナにかかってる人なんて日本にはほとんどいない(いなかった:過去形)のに。むしろワクチンで増えたのに、その因果関係に誰も気づかないの?ほとんどの人がワクチン接種したイスラエルのケースを調べろよ。


 医療崩壊は、かかってもない人を隔離するせいだろ。もちろんSarsがあるから、かかれば息は苦しい。死ぬかもな。でも肺炎で死ぬ人はいっぱいいるぞ。肺炎で死ぬなんてありふれてて全く怖くない。イメージで怖い怖いと思い過ぎということについて、怖がらせてワクチン打たせることが目的だろうという考えに到達したのが、俺たちは遅すぎるくらいだった。とにかく、Sarsは嫌な病気だから、もちろんかかりたくない。だが、新型コロナは血まみれになりながら道端で倒れるような感染症なんかでは決してない。倒れるのは血栓が心臓や脳の血管に詰まるせいだろ。理屈がわかれば、むしろワクチン打たないほうが安全じゃないか。酒の提供禁止も、酒を飲めばワクチンが効かなくなるせいだろ。何から何まで辻褄があってしまうため、それが本当かどうかということよりも、俺たちは馬鹿馬鹿しくなり、今度はマスクに寄る慢性的な酸素不足やマスクの素材に含まれる化学薬品なんかの害の方が気になりだした。


 2日ほど調べて、カラクリがわかってからは、すっかり馬鹿らしくなってしまい、あまり深く考えていなかった。思った通りだっただけだ。俺たちが変だということに気づいたのは、こんな言い方をしたくないが、ほとんど手をつけられたのが姥捨山からに近かったせいだ。ワクチンの接種を、接種券を郵送で配ってまでして、年配の人達から強制が始まり、それは本当に胡散臭かった。年配の人達は福祉の恩恵を受けてるからな。政府は納税者を優遇し。福祉の恩恵に預かっている人を切り捨てたいのが見え見えだった。


 あそこまで重篤な副作用があるもので、まだ治験を通ってなくて(2023年までな)、おまけに先にどうなるかわからないから、どうなっても訴訟起こさないでね、自己責任で接種してね、というようなものを、無理やり寝たきりのじーさんばーさんに打たせるのはおかしい。一体どこから、寝たきりの老人に感染機会があるのかといえば、職員と家族に見舞客ぐらいで、それはたかが知れていた。欧州と違い、日本の場合は本当にコロナの患者自体が少ない。それも、モンゴロイドにあのウィルスはあまり効き目がないのか、BCG接種している人種に効き目がないのかは定かではなかったが。


 ごく普通の風邪でも、人種によってかかる、かからないが、ものすごくはっきりしているから、俺は最初の方に流された海外でのコロナ・パニックの映像がもしかして作り物の可能性さえあるな、と感じていた。振り返れば海外発のセンセーショナルな報道が、いかにもわざとらしく、数が少なすぎる。あんな風に日本もなるのかと思いきや、むしろワクチン会場の方が、泡吹いて倒れたり、気分悪い人が出ないか見張らないといけないなんて、危ないんじゃないの。


 何より、日本の中でコロナで道端で倒れている人に本当に出会わない。インドの場合は、コロナなんてなくても、目の前で人は死ぬ。(※(注)2021年8月30日現在;状況は変わってる。ワクチン打った人間の交通事故や急死が増えてるはずだ。急に心臓や脳に血栓詰まったらどうなるか、わかるだろ。若者に接種を推奨してるんだから、これから日本でコロナは増える。先行国を調べれば自ずとわかること。)


 調べてみるとめちゃくちゃにコロナ後、こんな不景気なのに儲けている層がいて、ははあ、という気分になった。どんな時も風が吹けば桶屋が儲かるみたいな構造になっているのだ。一体誰が儲けてるのか調べてみると、すっかり馬鹿馬鹿しい気分になる。躍り出てくるみたいに生き生きとこのご時世に水を得た魚みたいにしてる人っておかしいだろ。ワクチンは安全です、と若い医者が言ってるから、ちょっとバックグラウンドを調べてみたら、はーん、というような会社を自分で経営していたりするのだ。なんだか金回りが良さそうだね、とそりゃあ、こんなご時世にすごい予算をもらって活動してるんだろう。どこから予算が出ているのか考える間もなく、こういう輩がそれらしく話すことを真に受け、ワクチンを我先に打ちに行くじーさんばーさんは、よくこの年まで長生きできたなあ、と感慨深くなった。肩書きがあるぶん始末に負えない。ただ、コロナにワクチンは効くというのは真実ではあるかもしれない。一瞬だけな。そのワクチンでむしろ逆に死んだり、不可逆な副作用(あえて副反応と言わない)に、重篤な影響と遺伝子的な影響がその後、出るかもしれないリスクと。だから何度も言うように、癌を手術で全部取りきって、手術成功しても、直後に患者が死ねば同じになるのと似てる。手術は成功、だが死ぬ。医者はとにかく、自分が担当した手術を成功させれば、患者が直後に死のうが関係ない、と言うような人もいるからな。今回のコロナでも、接種直後の死でも、医者は因果関係は不明と言う。因果関係あると言えば、報告せねばならないので、認めたくないだろう。認めれば、後々、大変なトラブルになるのは火を見るより明らかだった。


 昔、原子力は未来のクリーンなエネルギーです、という新聞広告があったらしいが、どれだけその広告に金が動いているか。まあ、そういうのを見て、そうらしいなんて単純に信じちゃうような人は、子どもか、おつむが弱い。ま、子どもだったら仕方ない。気づかないということはある。だから教えてあげないとダメなんだが、今回の件はもう遅すぎたかもしれなかった。この間ギャラリーで会った女子大生は来週モデルナの2回目の接種ですと言っていた。行きずりの女の子で、ものすごく馴れ馴れしく俺に話しかけてきて、俺に気があるのかな?と思うほどだったが、謎だった。


 接種したら不妊になるかもしれないって意味で、まずいかもしれないのは、胎盤移行性のデータを出してないせいだ、もうマウスの実験なんて済んでるはずなのに隠してるとしか思えない、と俺が言うと、その女子大生はキョトンとした顔をしていた。失礼を承知で言うが、ひょっとしてADSかなと思わせるような、文脈から外れた馴れ馴れしさと滑舌。会話展開が独特で、俺の世界と自分の世界を勝手に地続きに捉えるから、思わず俺は「君、霊感あるから、俺に話しかけてきたってこと?」とストレートに聞いてしまった。


「ええ、ちょっと霊感あります」


 その子はそう言ったが、俺は名乗らなかった。めんどくさいからびいの振りをしてしまえ。その子は「明後日がモデルナの注射で、この展覧会にはもう来れない、今しか言えないと思ったから」と言った。


「もう二度と会うこともないと思いますけど」


 俺と二度と会わないことがわかってて、何を伝えたい話があるんだよ?


こころの中の声をぐっと飲み込んだ。流石の俺も、あまりアート界でびいの評判を落としたくはない。とにかく変な会話展開だったが、たまたま、ギャラリーで出会った俺に「酸素バーナー、買った方がいいですよ」と言ったのだ。その子。つか、何なの?


 君、俺にそれを言うために話しかけたわけ?


 それは言わなかった。ギャラリーの受付の人が、こっちをチラチラ見てる。あまりにも長く俺たちは話すぎ。もちろんマスクしてるが、不自然だった。ま、俺がこの子をナンパしてるようには見えないのは幸いだ。


 びいがジリジリし始めて、それは、自分の事情をあまり話したくないということらしかった。世界は狭い。この辺に住んでるってことは、どこで誰と繋がっているのかわかったもんじゃない。


 一応、アートの世界の人間には、日本に帰ってきてから、俺のことはできるだけ伏せていたびいだった。


 何でなんだ? と聞いて見たら、だって必要ないもの、とびいは言った。こっちの画家さんたちもそうなんだが、ものすごく優しい。ものすごく優しいから、俺を通さずとも、自分でコミュニケーションできてしまう。びいはギャラリーの田村さんにだけ俺を紹介した。田村さんはきつい口調で俺と話すことは何もない、と言い切った。


 えらい言われようだな。


 俺は苦笑したが、田村さんらしい。びいが自分で自分の問題を解決するべきで、それはアートを通せば十分可能だった。俺とびいはあくまで、コラボレーションの関係で、ユニットではない。俺の作品をびいがキューレションするというから、この世界に呼ばれただけで、びいの作品制作の何もかもを俺が引き受けるというような下請けの関係ではない。俺ができることはやってあげてもいいが、あくまで俺の役割はテンポラリーな関わりで、びいが元気にさえなれば、縁が切れる。俺は俺でやりたいことがあり、俺がこだわってびいにわざわざくっつくような理由が全くないのだから。俺も騙されたようなものだ。2019年6月の日仏文化会館のビエンナーレ展が終わったら、俺はそれでお役御免だと思っていたのだから。


 向こうの屋敷でアトリエでランプワークするなら、トーチにオキシジェン・ジェネレーターを接続するから、もう買っとこうか、とずっと真剣に迷っていた。トーチってバーナーのことな。びいはランプワークは最後の砦でも、苦手という意味で、あまり前向きではなかった。念のために。酸素バーナーはずっと外のアトリエでレンタルしていたが、日本ではそれどころでなく。でも、日本だったら可能だから、自分でアトリエを再び持つことも考えたが、平面の方をやろうということで宙に浮いていた。とにかく金がなかったし、あっても自由には使えなかった。


 俺たちの生活というのは、ある種、上級国民みたいな感じに聞こえるのかもしれないが、俺も実は「上級国民」がどういう意味なのか、ほぼ知らない。年取った人と話す時だけはちょっとホッとした。年取ったと言っても、70オーバーでも昔のことを何も知らないじーちゃんはダメだ。


 俺たちがホッとするのは、先の戦争のことをよく知るようなちゃんとしたじーちゃんだ。今の時代に順応しすぎたじーちゃんじゃなくて。


 びいも戦記の人もおそらく同じなんだろう。俺たちは生きてる時代がもうすでにかなりズレていた。びいは今までになく、もうもろに、戦争以前ぐらいの世界にいたのだ。だから今のようになってるわけで。それはとても奇妙な現象だったが仕方ない。時空を超えるというのはそういうことで、俺は真剣に「頭のおかしな人」と扱われることについて危惧し始めていた。びいだけでなく、俺もだ。日本にずっと住まねばならない以上は、ごまかしがきかない。隠さないとそろそろまずい。


 びいはガラスに復帰したがったが、お母さんが首を縦に振らなかった。びいは不器用で、いくらやっても上達しないんじゃないの、というのは、なんとなくの全員の見解の一致だった。バーナーワークはランプワークと同じ意味なんだけど、あれってさ、かなり器用さが必要。俺は比較的、まだびいよりはマシだったが、びいは壊滅的に下手で、もうやめておいたら、とは確かに俺も思う(苦笑)。


 ランプワークじゃなくても、ブローでレンタルの工房があるんだし、そっちの方がきっとびいに向いてるよ。ただ俺自身は、オキシジェン・ジェネレーターがあればいざという時に便利というのは感じていて、それでディストリビューターに見積もり頼んだところだった。Jさんのお母さんはコロナ前に確か亡くなったと思う。だが、それさえあれば、もう少し生きながらえた可能性もある。正直、最後は環境と基礎体力と金だ。それでも、月に20万円だったか、30万近くだったか、Jさんは寝たきりのお母さんの介護に自費を払っていたと思うから、やはりフランスでも日本でも、財力だね。


 酸素を発生させ、息が苦しい人に吸わせていれば、少し呼吸は楽になる。だが一応、医療機器として認可がいる。俺は、自分が死にそうな時にやっぱ吸いますよね?と取次に聞いてみた。認可いるから医療行為できないが、自分が死にそうならもちろん吸いますよ、これは推奨してるわけでなく、自分が死にそうなら当たり前ですが、そうするという話です。


 取次の答えは、俺と同じだ。


 だから買っとこうかと思ったんだが、すでにアメリカでは品薄になっていて、日本に入ってこないようだった。別に他の機種でもいい。取次は実際のところ、どれも同じだと言った。まあ、そうだろうな。作業に使うなら容量とか音とか違いがあるが、死にそうな時、吸うだけならもうなんでも同じだ。


 酸素マスクみたいに、そういうふうなのじゃない。本当に死にそうな時って、そんなじゃ埒あかないから、医者が気管切開する。まあだから気休めなんだよ。それでも、ないよりある方がましと。実際のところ、先に呼吸が苦しいのくらいと書いたが、まあ、苦しいね。ただ、本当に死ぬときは心配しなくていい、全く苦しくないから。苦しい間は死なないから安心して良い。


 それにしても、何でいきなり、見も知らない女子大生に出会い頭に、あなたは何してるんですか?と聞かれ、いやーまあ、アートしてるが、エクジストできないね、と答えたびいもびいだが、「さっさとその線で行った方がいい。酸素ボンベの資格取得講習とオキシジェンジェネレーターの購入を」なんて言われるんだよ。わけわかんねーが。


 実はびいが途中からやりとり放棄しちゃって、それで俺が引き受けたんだよ。


 まあびいはそういうことが最近本当に多い。話してて、もう何もかも嫌になるんだろうね。合気道でもそうだけど、怠くて面倒、もう帰りたいと言い、俺に変わって欲しいと頼んでくる。そのせいでトラブルが絶えなくなってるんだよ。この生活も限界だな。


 まあ何でもいい、この子は電波系だなと思ったが、ワクチンの話が出たから、今度は俺がその子に二度目を打つ前によく調べた方がいい、とアドバイスした。一度目を打つ前なら、打つなと言うだろう。二度目。このワクチンが怖いのは、二度目、打たなければ打たないで、どうなるかわからない点だった。まあでも、やめた方がいいだろうな。これでコロナにかかったら、致死的な反応出そう。二度目がひどく反応するっていうので分かるだろうが、一体ワクチンは何のためにあるのか。


 打ってもコロナにかかるし、コロナにかかると、重篤な反応を起こすし、変異したら全く意味ない、聞かないし、3ヶ月から6ヶ月で効力は消えるが、遺伝子的に長期的な影響がどう出るのかは不明。アジュバントはびっくりするような劇薬、毒物で構成されているし。最初は重篤な事態を避けられるためのワクチンという触れ込みだったはずが、今は逆だ。


 その女子大生は厚生労働省の副反応の報告書は読んだらしかったが、最近になり、水俣の報道が今更増えたのも、ある種の布石なんじゃないかと俺は疑っていて、その娘には「接種2回目は取りやめると言う手もあるから、よく自分で調べることだな」とだけ伝えた。ただな……一度打つとずっとやめられないということになる可能性はあるかもしれないとは感じていた。欧州、他国ではブースター接種、3回目の話が出ている。人類が弱って減るまで、どんどんやるつもりなのか、正直、俺が見ているのは「デメリット」だけしかなく、「メリット」が一体どこにあるのかは不明だった。いや、目先のメリットはもしかして、あるかもしれないが。3ヶ月から6ヶ月までのな。


 実は新型コロナウィルス自体が単離証明されてない。各国、どこに問い合わせてもそうだ。単離証明されてないって意味は、ウィルスとして存在するかわからないということ。コッホの定義に当てはまらないかもしれないということ。ウィルス発見されてないが、症状はあるということになる。ウイルスじゃないかもしれないんだよ!


 この病気の症状、先に書いたように、あらゆる既成の病気のカクテル状態になってる。ものすごく不自然だから、研究所で作られた細菌なんじゃないかという説が出てる。



 医療現場が大変ってことは、Sars(重症急性呼吸器症候群)だからな。「SARS-CoV-2」がウィルス名、Covid-19が病名。まあ、WHOが勝手にウィルス名つけたんじゃない? WHOのことよく調べてよ。大体の権威ある「そういう皆が知ってる横文字団体」って、実は世間一般のイメージとは違うから。謀れてることに気づくよ。アフリカとの関係とかさ。そこらへんの大統領達が一年以内にバタバタ死んでる件、理由とかさ。まあ、大体、俺は事件や死人といえばまず疑うね。報道と全く違う中身なんだろう、と。それくらいでちょうどだよ。


 呼吸器の病気は自分の肌感覚的に、そこまで大変じゃない。体の中に溜まって、徐々に死に至らしめたり、血だらけ、糞尿まみれになったりするような人が道端でバタバタ死ぬような派手な感染症のウィルスじゃない。それだけでも、ほんの少しましな感じがある。どう”まし”なんだよ、と言われるが、想像したらわかるだろ。


 最近になって、2類でなく5類にしようと言う話もこの辺にある。凶悪な感染症の指定あったらむしろ、現場が大変になりすぎる話は書いたよな。


 血まみれでウィルスを撒き散らされて、その後片付けに追われるよりも、本人が呼吸できなくて苦しい方がましだろう。どういう観点で病気にましとか、ましじゃないとかあると責められるが、血だらけの病室を防護服で消毒するのと、そうでないごく普通の場所を消毒するのと、どっちが良い?


 不謹慎な例と言われるかもしれないが、俺だったら、エボラの病室と、新型コロナの病室とどっちを消毒したいかと言えば、コロナの病室に決まってる。まあそういうわけで、コロナの方がましと俺は感じるわけです。人に寄るかもしれないけど。


 コロナの病室と、放射能汚染された部屋、どっちに入りたいか聞かれたら、コロナの病室でしょう。その理由は、放射能汚染された部屋の方がすぐに致死的かもしれない点で。どの程度まずいのか、目で見ただけじゃ、わからんしな。ウィルスも目に見えないが、放射能で被爆して死ぬほうが、よほどコロナよりも悲惨だと俺は知ってるから。


 コロナの病室に入るのと、福島原発の建屋に入るのとだったら、福島原発の方が嫌だ。この体感の違いで、コロナは「まだ何とかなる事態」だなという……。福島原発の事故を間近に見てきた日本人なのに、コロナがそんなに怖いというのがピンと来ない。それよりもありえない放射能汚染土を全国に拡散してる方がずっと怖い。


 被爆の怖さはあらゆるところから出血が始まる怖さがある。コロナにはそれがない。倒れた時に頭を打てば、血が出るかもしれないが。人としての形を留めない最期という意味で、被爆やエボラなんかはある意味、もっと恐ろしい。エボラなんかは、結局そんなに蔓延できないウィルスだ。あっという間に宿主を殺してしまうから。


 被爆の場合はその度合いによって症状が変わる。致死的な放射性物質の濃度に触れてしまった後、亡くなるまでの間が長いと地獄だが、そういう人を診察するのと、コロナの診察とは、比べられない。俺は医者でないから、説得力に欠けるが、未知の病原体と言ってもコロナの場合、たとえ亡くなっても普通に亡くなる。怖いというのは単に作られたイメージというのがわかるだろう。いや、普通に亡くなるのも、とにかく死ぬのは怖いと言われるかもしれないが。それかこの先、もう少し目立つ怖さが出てくる可能性はある。らい病や梅毒みたいな症状とカクテルされればかなり困るな。天然痘が忌み嫌われたのと似ている。治った後も醜悪な状態が残るというのはかなり厳しい。


 そういう意味ではコロナの場合は、脱毛や皮膚症状がある。もちろんワクチンでもこれから顕著になるだろうと俺は見てる。いい加減なことを言うなと言われるかもしれない、かなりの言論統制があると思うから、ただ目を凝らして外を眺めることを勧める。欧州の場合も被曝由来の疾病がわんさとあり、知っていたら、17年のうちの10年は日本にいたね。その後の7年は欧州でも良かったかもしれないが、環境汚染というのは、一般の人が思うよりもずっと激しい。


 そのことをしっかり知りたいなら、飛行機で各国をぐるぐる巡れば気づくよ。だからジェットセッターが人口減らさないとこれは地球の命運って意味でまずいと思うわけだよ。俺は裁判官でも他人の命の手綱を握ることは反対の人間だから、とんでもない越権行為に見えて仕方ないが。生まれてくる人口を自由意志で調整するのはまだしも、人減らしを実行したらサイコパスだろ。


 多分、俺たち、俺とびいの寿命はおそらく2年程度、もう何でもいいやという気持ちになっているけど、未来のある子ども達は、大人が守ってやらないとダメだ。だから、自分の頭で考える子を育てないとダメだ。ワクチンを子供に打つ? それはさすがにびっくりしたし、どうなってるんだ、と。しかも、大人に相談せずに自分で打ちに行けるようにする? 気が狂ってるんじゃないのか。


 フランスでは夏休み遊びに出かけたいから打つというような馬鹿げた理由が結構あって、それはワクチンパスが義務になったというのもあった。フランス人全員がそんな義務に従うわけがないと思ったが、反対運動は現在(2021年8月23日)で約23万人程度らしかった。今日、日本のテレビで日本人の接種率を見たが、近隣の県で一回目が約50%の摂取率。俺はゾッとして、後戻りできない人達が、ワクチン絶対打たない人達をターゲットに強制してくるんじゃないかと思ったら、まともな思考回路の人間はいないのかと、もっとまともな国はどこかにないかと感じるほどだった。フランスは何かにつけてかなりマシだったのに、とんでもないことになったな。


 俺達も誰も読まないような場所でつらつら日記など書くだけの日々から、何とか毎日を変えていかないとダメだろう。農業などを真剣に考えるべきかもしれない。ベランダでシソを育てるくらいがやっとです。


 ダンスプロジェクトで世話になったびいの従姉妹なんかはその点、お嬢様にも関わらず、堅実な女だった。ちっちゃくて、可愛くて、優しく、気立てが良かった。素直で性質が良くて。笑顔以外思いつけないような、女。初めて付き合った好きな男と結婚し、本当に堅実に、社会保険カバーしてくれる公務員的なパートに通い、子育てもしながら、耕運機を借りて耕し、自分たちの食べる分以上に自給自足をしている。俺たちは本当に、爪の垢でも煎じて飲んだ方が良いくらいだった。


 まあ芸術系ってこんなだろ、しかたねーな。


 俺はびいのお母さんがギャギャーうるさいのにうんざりしてしまい、バシッと言ってからは諦めていた。びいのお母さんは俺のやることにも口出しをしてきて、新聞配達も警備員もコンビニバイトも工場作業員も電気屋も「頼むからそういう仕事はやめてちょうだい」と言ってきた。意味不明なんだよ、俺にどうしろ、と。俺は電気工事や鳶職に興味があったのは、知識があれば自分で建物を建てることができるせいだったが、びいは日焼けが困るといい、びいのお母さんは卒倒しそうだった。近所の電気屋に就職しようとしたら、そこに以前工事を頼んだら、本当に間が抜けてるお兄ちゃんが来て、うちの電気のスイッチを間違えて取りつけていったからとか言って、やめてちょうだい、と言った。


 とにかく何でも反対するから、俺は辟易していた。もちろん合気道も居合も反対された。もうでも、それだけは俺が押し切った。びいを死んだ人みたいにずっと寝かせとくだけにするわけにいかねーだろ。精神病院に入院させるのと、何らかのアクティビティで、毎日布団から一応は起き上がらせるのと、どっち選ぶの?


 俺はほとんど介護のお兄さんみたいになっていた。びい専属の。誰がこんな未来を予測できたかな。俺でさえも意外だった。何でこんな事態になったんだろう。まあでも、とにかく今は仕方ない。フランスにいた時よりも、酷さ具合はどっちがましか、たまにわからなくなった。それは、日本の方が同調圧力が酷すぎるせいだ。


 俺まで顔の相が悪くなってきた。日本に住むのは本当にある意味、苦痛で鬱陶しい。びいのお母さんからは、岬くん最近怖い、顔つき険しいと言われ、当初あった余裕が消えたとなじられた。いや俺はね、おカマの振りを強要されるのも嫌だし、日本からどうやら出られなくなったのもまずいな、と思ってたんだよ。おまけに海外と違い、日本語はごまかしがきかない。


 でも、合気道と居合で、かなりびいは元気になってきたように見えた。外に出るのが週3日というのはすごい進歩じゃねーか。泣かなくもなった。


 前は、しくしく泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いていた。


 床に突っ伏したままだし、壁にもたれたまま動かないし、これ、見た目、精神分裂病患者ということになるので、まずいな、と俺は思って見ていた。統合失調症というふうに名称は変わったが、要するに、わけがわからない人。


 すぐに感情的になるので、何も言えないし、とにかく、ほっとくと何もしない。ご飯も食べないし、いや……トイレくらいは行くが、トイレが間に合わないということは……あったな。


 多分、トイレに行きたいと気づかない。正直ね、人というのは、心ここに在らずはまずいわ。しっかりしろよ、と言って、戻ってくるようならいいよ。


 この俺の苦労、わかってくれる人は少なくて、近所のお姉ちゃんのお母さんだけが「岬くんは偉いね」と言ってくれた。俺は思わず、ほろっときそうになり、自分で驚いた。猫の捜索をしばらく一緒にしていたおばちゃんだが、あの人のことは書いたか忘れた。俺、自分が大変な日々を送ってることにも気づかなかった。言われるまで。


 このおばちゃんに俺の身の上を話したのは、この人ならわかってくれると思ったからなんだが、本当によくわかってくれた気がする。他の人はさ、もうほんと99パーセントぐらい、話したのを後悔する。不気味がられたり怖がられたり、俺が暴力振るうとか、思い込んでるんだよ、意味不明。


 おばちゃんと一緒にいると、労ってあげたくなる。おばちゃんも死んでもいいと思ってることが俺に伝わってくるから。何でだろうね。だから、一緒にいなくなった猫を一ヶ月ほど探してあげた。猫探しを一緒にやっていると、こんなふうに優しい人から死んでいくという気がした。


 とにかく、戦略として、生き残りをかけて、今の状況をどうにかしないといけない。びいにアートしたいんじゃないの?と言っても、ほぼどうでもいい、となってて、驚いた。命をかけてやりたかったことが、どうでもよくなるというのは本当にまずい。


 今もう、死にたいというばかりの人間になり、命を賭けて死にたいというふうになって、目的がすり替わってしまって。俺が、なんでなんだよ、おかしくないか、お前、と言ったが、悲しいばかりの人は何するか、わからないから。


 とにかく落ち着こうと言うしかなく、変なこと言えば、お前馬鹿なの、変なこと言うな、と怒って。そんな日々で。


 びいは死んだ人間も同等になってて、ここから、居合と合気道まで、なんとかリカバリーして、それでさ……最近やっと、ちょっと元気になってきたなと思ったら、合気道やめたいと言い出したんだよね。


 これは良い兆しなんだが、お前、自分の立場があまりに理不尽でおかしいとやっと気付き始めたんだろ、見返してやれよ、と俺は言った。お前ね、実はちゃんと何でもできるだろ。前は旦那、今は俺に甘えてるけど、本当は能力あるくせに。


 なんでもできる癖に、なぜやらないんだよ?


 俺はそう言って、それからびいの答え聞く前に気づいてた。こんなことになってるその理由。


 

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