第373話 宣言
俺は自動でタイピングしたものを録音し終わっても、天から言葉を降ろすことをやめなかった。
俺は泣いていた。なぜ悪魔のことを想って泣くんだろうな。
〜〜〜
わからないな、なぜ俺は泣くんだろうな。わからない。わからないな。
自分にも……理解できない。わからない。
闇と光というのは結局のところ、セットになってるんだよ。
明るい光を見続ければ、目の前が真っ暗になる。何も見えなくなる。
同じ一つのものなんだよ、結局は。闇も光もなく、両方全く同じものなんだ。
一つの円の中で、繋がってるものだから。
俺は、そうやって、悪魔を抱きしめて、このまま消えてもいいと本当に思ってるんだ。
(俺を声を振り絞るように言った。宣言には、いつも十分な注意が必要だ。そのことをよく知っていた。俺の力量、足りるかどうかなんて全く不明だった。自信はないから、犬死かもしれない。それでもいい。何かの役に立ちたい。)
……俺にもし力があるなら、全ての責任が取れるなら、俺がもし、十分なエネルギーがあるのなら。
全ての邪悪な存在を抱きとめて、俺が一緒に消えてやることができる。
俺はそうする。
一緒に消えてやることができる。
俺は、理由もなく、愛することができるんだ。光に変えてやるから。
俺の、全ての生命のエネルギー、それを使って、もしも足りるなら。
全てを抱きしめて、光に変えてやるから、それで、俺も消える。
それが俺の望み。一緒に道連れに、何もないところまで。
俺にはそれができる。そうする。
一緒に。
一緒に……ただ……
何もないということが、結局は全て。
だから、そうする。
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