第126話 旅行王子と出会う
ジョーはカフェの場所をメールしてきた。俺はメトロの中で、大人みたいなお姉さんと軽く雑談していた。
信じられないが、海外のくせに密着の混み具合。
俺はそのお姉さんに「こんなに混むのはありえない、帰りは他の方法で帰りたいが、バスとか知らない?」と話しかけた。
サファリみたいな場所にいたらぴったりくるような小麦色の肌のお姉さんで、年齢はそう若くないが、なんというか、大人。むっすり立ってても気まずい俺は、現地語で話しかけ、英語が通じるとわかると、普通に雑談した。
どうも地上で何かあり、電車が遅れたせいで、たまたまこの電車だけがこうなったようだ、とお姉さんは言った。バスよりも、上の階から乗れば、こういうのはなくなる、と言っていたので、俺は上の階なんてあったっけ?と思ったが、まあ、一時的なものなら構わない。そうこうしているうちに俺は降りることになり、ありがとう、と言うと、お姉さんは映画女優のような素敵な笑顔を見せた。
俺は歩きながら、大人の女性と付き合うのは楽そうだな、と考えた。王子くんが選んだ人が、ちょうどそういう年上の人で、年上の余裕というか、仕事もバリバリ、収入もバリバリ、まあ、姉さん女房だよな。
俺は、ぼんやりして逆向きに次のメトロを間違えた。馬鹿なんじゃないか、俺。ぼーっとしてたからだ。
時間きっかりのはずが、ちょうどその分の数分の遅刻。
ジョーとはねえ、最初の出会いがビジネス・リレーションだから、俺、遅刻はできねえだろ。嫌だなあ、と思い、カフェを探す。こんなとこにそんなのあったっけ?
俺はこのエリアは100パーセント精通している。知らない通りなどほぼない。
で、やっ、と入っていったところ、お?すごい雰囲気イケメンと一緒のジョー。誰ですか?
そいつの名刺には「旅行王子」と書いてあった。ウサギが金色で刻印されていて、おしゃれな名刺なんだが、王子?
俺の周り、王子が多い。俺はじっとそいつの顔を見て話を聞いていたが、爽やか。ビジネス、イケてそうなやつじゃん。
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