第121話 走馬灯・過去と今と。
俺が最期に書いとこうと思ったのって、ほとんど「走馬灯」ってだけの意味しかないね。簡単に(まあ、簡単じゃないけどな)大金を手にして、その後、みんなどうしてるか。
本当は、もっと書きたいことがいろいろある。でも、ネットでは書けないな。
俺が死んだら、ということでも、俺の色眼鏡かかってることは、生きてる人が読むと「これ、俺の認識してる事実と違うんだけど!」
……ということになりかねない。
もしかして俺に向いてるのは、ストーリーテラー?
じいちゃんやばあちゃんが、枕元で、孫に聞かせるみたいに、昔はこうじゃったんじゃ……みたいな、そういう立場が向いてねえ?
ああ、でもそれ、俺に向いてる気がする。紙芝居の人とか?
自分に向いていることというのが、本当にくだらないことばっかりで、いつから人生がそんなマイナーな方向にシフトしたのか、俺、ほんと自分で疑問に思うわ。
誰かが「それでいいんだよ」と言ってくれればいいが、俺の場合、周りの人間は全員まともすぎて、俺だけが変なんだよな。
ネットで知り合った、顔も名前も知らない人。女を平気でやり捨てしたいが、いい人のふりをして近づき、できるだけ
いや、誰からも「最低」と言われるような人に、好かれても嬉しくないよ。俺なんでそれでも平気なんだろうな。俺は、全てのモラルの枠組みは意味などない、というスタンスだから、その人がどんなに最低であっても、関係ないから。
世の中にはいろんな人がいるだろう。いい人も、そうでない人も。
断罪などできない。俺らは神じゃない。ただそこにそういうものがある、人がいる、という事実だけで、だからどうというのは、また別の話になってくる。
良いとか悪いとか、快とか不快とか、生理的に感じるものはあるにせよ、結局のところ、現実、そこにあるということについて、何か感じるその感じ方は、それぞれ独自のものだ。
この人なあ、むしろここまで貫くって、どういうポリシーなんだよ、と俺は思うが、だからどうこうという話じゃない。
女の子がその人にパッと近づいて、ひぃぃぃ!と逃げていくのをいつも見るわけだが(ネットで)、そういう人から、「あなたは変人」と言われると、そういう人の目から見ても、「変わっている俺って?」ということについて、自分で自分がわからなくなる。
実のところ俺、変わってるとか、変わってないとか、どうでもいいのかもしれない。
俺が、自分が変だなと認識したのって「あんたは変わってる、変人」と、その人に言われた時に、初めて気がついたことになる。
それまで気づかなかったんだよな。誰も俺のこと、「変人」って言わないから。で、そう考えると、全てが納得いった。そっか、俺って「変人だったのか」。
顔や見かけ、経歴、家柄から、そうは見えないというのは、本当に罪なことだ。
ネットの中は顔が見えないから、むしろそういうことが浮き彫りになるんだな。もちろん俺は、自分の個人情報流出にものすごく注意しているから。
でもこんな詳細を書いたのは、俺、今すぐじゃなくとも、あと4〜5年で寿命と知ってるからさ。
兄貴もBも「死ぬ死ぬ詐欺」と言うが、死んでからは書けないからな。
でも思ったんだけど、俺、変な体験してる時、心臓バクバクしてると同時に、時間が引き伸ばされるくらい不可思議なシーンだと、いつも思うわ。
ここからどうなる?というシーンに出くわす度に、これで最期か?と蒼ざめる。そういう時、一応全て書いとけば、まあ思い残すこともないし。
最近は便利だ。やばいシーンはこっそりスマホのビデオを回すぞ。
だから、実況っていうのがありえる。俺、決死の思いで、ビデオ送信することとかある。その時たまたま話してた人とか、Jさんとかな。
でも、本当にまずいシーンに偶然立ち会うというのは、そうそうないな。
俺は変に運が悪いから、そのうちあるんじゃないか、といつも思う。
そういう最期って、面白いだろ。俺は、まともな人に言ったら、本当に何を考えて生きてるの?と言われるくらい、ゲーム脳だな。
もしかして書いてるのは中学生か?と言われたら、ふふん、とネットの向こうからじゃ、わかんねえだろ、と。俺は、今度生まれ変わったら、もっともっと最初からネットに詳しい英才教育を受けたいと思うね。
母さんも父さんもあんまりネットにはもともと賛成じゃなかった。俺が勝手に。毎日ただ使ってるだけじゃ、全然、世界が理解できない。もっと系統立てて、最初から仕組みを知ることを目指して使っていたら。
今や小学生でもプログラムしたり、アプリ作ったりするのだから、現実の冒険と、虚構の冒険が繋がって面白い。俺の実体験って、具体名が書けないのが本当に残念だよ。具体的に書くと、最終的に誰か分かっちゃうじゃないか。
もしも、俺のことをリアルに知ってるやつがこれを読んだら、一発で俺とバレてしまう。知らない人が、この情報から俺にリーチは不可能だが、俺のこと知る人なら、書いてるのは俺、と特定するのにきっと、十分な情報だろう。
それも無理であるように、もう一個トラップを張っておくのか、俺は考えた。
もしも、俺のゲームにいきなりリーチかけてこれる人は、カクヨム以外からアクセスしてくれな。カクヨムでは俺、絶対、本当のこと、言わないと決めている。
よろしくお願いしますww
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます