Zootopia

トイストーリー以降、ディズニー映画の最高傑作となったズートピア





最高傑作、これは個人的な意見ではなく映画として、ディズニーとしてのバランスがもっとも良く そして今までに無いことをいくつも熟しているという点だ




まず今までディズニーは差別する側であったということがこの映画を語る上で最も重要だろう



代表的なのは黒人、ユダヤ人、そして女性



初期ディズニーが差別していたこの3つ、全てのアンチテーゼとなっている





黒人は肉食


ユダヤはキツネ


女性はウサギ





これを描いたことはただのポリティカル・コレクトネスではない




『プリンセスと魔法のキス』から本格的に始まった過去のディズニーから

脱却するための再構成がとうとう最終段階に、そしてそれに成功している








そもそもこのズートピアの主人公として当初計画されていたのはキツネだった




『ピノキオ』に悪役として出てきた詐欺師で小ズルいキツネ、このキャラクター像をそのまま持ってきていることで作り手の決意がわかる






この一点だけでズートピアはディズニーの作品的、歴史的な重要度は一気に増す








ここを成し遂げ切っただけにも関わらず、それで止まらないのがジョン・ラセター

体制だろう




彼がピクサーだけではなくディズニーさえも統括を始めてから組み込まれた




『ストーリー・トラスト・システム』






により20人近くの世界から集まったストーリーテリングの天才達が

たった一つの作品を袋だたき(?)にして完璧に仕上げる




しかし今までその効力が発揮されることは残念ながら無かった






アナ雪ではキャラ変更により悪役の配置がギクシャクし作品バランスが壊れてしまった


ベイマックスでは主人公がヒーローへ成長する過程や悪役への裁きは描けなかった





さらにこのズートピアでは今までに無い大量の要素が詰め込まれている




バディ


ノワール


潜入


列車アクション


動物パニック


風刺


組織


映画パロディ


ドラマパロディ


etc....etc....



そして大人向け、子供向けのギャグシーンの使い分け






大人はゴッドファーザー冒頭のセリフ完コピで笑い


子供はナマケモノで笑う



ここまで要素が多くそれでも破綻していないとは.....末恐ろしい



個人的な感動ポイントとしてはキツネのニックがなぜ詐欺師になったか、

その仮定があまりにリアルで真剣味を帯びていたという所だ





この映画が提示する「差別はいけない事です」という

いわば有り体なテーマに真実味と現実味、切実さを子供騙しではなく本気で描こうとしているのが心で理解できてしまう




完全無欠の大傑作それが『ズートピア』




今、この時代に見るべき傑作です!

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