夏の煌めき【11.夏祭りの事件簿】

 夏祭りは夏の間に津々浦々で催される行事であるが、時に重要な意味を持っていることもある。

 真王なおから「8時に浜に集合」と言われるや否や、華琉人はるとは待ち合わせ場所のコンビニへと走って行った。

 コンビニの前では既にツキミが待っていた。

「ごめん。待たせた」

「大丈夫。あたしも今来た所だから」

「行こう。何か食べる? それとも夜店で遊ぶ?」

 夏祭りのメインストリートは多くの屋台が並び、賑わっていた。どこから湧いて出たのかと思うような人混みの中を歩きながら、華琉人は自然とツキミの手を握っていた。この黒山の人だかり。手を離したらはぐれてしまう、と思うと手を解く勇気は華琉人にはなかった。

 人波を渡るうちに華琉人とツキミは屋台街の外れに流れ着いた。

 外れまで来たし、折り返さない? と言おうとした華琉人の視界の端に見慣れたオレンジ色が映った。

 闇の中でも分かる、あのド派手なオレンジ色はチキンだ。

どうしたんだ? 気になった華琉人はツキミの手を引いたままチキンの消えた方に向かった。

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