夏の煌めき【5.夏の女神(サマーゴッデス)の襲来】

 空の青が反射して海は青く輝いている。日の光に照らされた砂浜は金色のラメを敷き詰めたようにキラめいている。熱々に熱せられていなければ裸足で走りたくなる光景だ。

 結局泳ぎに走ったのは、あきら、キョーちゃん、チキン、耀ひかり琴音ことね雛多ひなた一見ひとみ水波みなみの8人だった。

「意外にいたな、遊びたいやつ」ユッスーがぼやく。「あとであいつらビシビシしごいてやるからな」

「うわっ先生エグっ!」泳ぎに行かなかった爽勇会そうゆうかい男子メン5人が青ざめる。「もう先生に逆らうのヤメます。」

「そんな大袈裟な……」ユッスーが続けて何か言おうとした所で、どこからか透明地に赤・青のトリコロールのビーチボールが転がってきて皆の注意が逸れた。

「これ誰んのだ?」一番近くにいた華琉人が拾い上げた。

「すいませ~ん」

「それ、あたしたちので~す」

「ワ~ォ。セクスィー水着ギャァル!」

 走って来たのは鮮やかなレモン色のビキニの女性とみかん色のチューブトップに若竹色のパレオの女性だ。

「あ。これ、君たちの?」

「そうです。ありがとうございます」レモン色ビキニの女性はビーチボールを受け取ろうとした。

「あ……。これ、どうぞ!」華琉人は手渡しでビーチボールを返した。彼女の少し焼けた肌と長く垂らしたサイドポニーの髪型が華琉人的には高評価だった。

「あ……、あの! レモン色の君! 最後に名前だけでも‼」立ち去る後ろ姿に華琉人は叫んだ。

「あたし? …あたしはツキミ! フジノ・ツキミ‼」彼女はそれだけ言うと友人を追って駆けて行った。

 華琉人は今年の夏はこれまでにないものになりそうだと思っていた。そう、これまでにないほど熱い……。

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