夏の煌めき【3.クロシーのはとこ】
そうこうしている間に一同の前に1台のきな粉色のバスが停まった。車体には白文字
で“民宿
最前列の窓が開いてクロシーこと
「皆さん乗って!」そう言うとクロシーは席を立った。代わりに席に着いたのは、一同と同年齢くらいのクロシーにどことなく面差しの似た少女だった。
乗降口が開くのが合図だったかのように、一同はバスに乗り込んだ。
「なぁ、クロシー。その
「まさか彼女?」と、矢継ぎ早に質問が飛ぶ。
男子たちの関心事は、クロシーが連れてきた謎の少女の正体であるようだ。
「違う。違うって! 彼女は黒島
「はぁー。お前の親戚。道理で顔立ちがちょっと似てるわけだ。」納得できたというように
「皆乗ったぞ、クロシー。あとはシートベルト締めりゃ発車できるぞ!」と
チラリと耳元に見えたのは……。
「何でイヤホンコード?」
「あ。こいつ、自分がチャリンコで出せる速度以上で走る乗り物に乗ると一撃で乗り物酔いするから……」
「おい華琉! それ以上言うとあとで
「うわ……うわうわうわ……。真王さん、すいません。もう言いません。あとで
「うひゃひゃひゃひゃ。何か表番VS裏番のリアル抗争劇みたいだったね」
「うるせっ!」華琉人は
「ちょ……ピカリン何なんすか⁈」座席の背を叩かれた
「お前ら、バスが動き出したんだからシートベルトして大人しく座ってろって。小学生か!」振り向いた体勢でユッスーがツッコんだ。
すると、車内にガチャガチャと慌ただしい音が響くことになった。
「あの、
「うん本当。小5の時の野外学習キャンプで、22時の消灯から何やかんやで翌朝5時まで枕投げをやって……、あ。6時起床だったんだけどね」
「え……。1時間しか寝なかったんですか?」
「そう。まさかの1時間睡眠。それでバスに乗ったら案の定真王ったらリバースしちゃって……」
「あぁ。あったね、そんな事件も。で、後日聖を筆頭に枕投げに参戦したクラスの男子全員で土下座したっていう……」
「えっ、そこ、笑うとこ?」番長席から身を乗り出して華琉が訊いたが、誰も答えなかった。
「何だよっ‼」華琉がシャウトすると車内は笑いの渦に包まれた。
夏空は青く澄んで白い雲と絶妙のコントラストを織り成している。
高速道路を海沿いへとひた走るバスの後ろ姿は、車内の様子が反映されているのか、どこか楽しげに見える。
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