夏の煌めき
夏の煌めき【プロローグ】
7月の青空から射殺すような陽光が降り注ぎ、灰色のシティジャングルを熱している。
街を包むうだるような熱気を伝って聞こえてくるのは、盛大な蝉の大合唱ばかりだ。
人影もまばらな昼前の
「あち~。」真王は被っていた野球帽を脱ぎ、汗を拭おうとリュックサックのサイドポケットからハンドタオルを取り出した。
真王はこの場でいつものメンバー(便宜上彼がそう呼んでいるに過ぎないのだが)と待ち合わせをしている。
いつものメンバーは基本的に3グループに分かれているため、おそらく同一グループの者同士が三々五々現れるに違いないと予想できた。
第1のグループは、真王を筆頭として、
第2のグループは、代表者の名前から『
第3のグループは『女子チーム』と称される、女子の2グループ__
“四姉妹”とは、高校入学時に遙と耀が同級生になったという縁で知り合い、女友達の少なかった爽のよき友人となったことから自然と仲良くなった。一方の“三人娘”は、性格の似た雛多が爽に勝負を仕掛けているうちに、いつの間にか友人となっていた。
チーム静垣は、“四姉妹”と“三人娘”という全く正反対のグループの合流に「代表者同士の抗争が起こる」と危惧したのだが、女子というのは不思議な生き物で、意外にもすんなりと打ち解けてしまい、彼らは拍子抜けしたのだった。
夏の都市特有の熱いビル風が、真王の身体を掠めて吹き抜けて行った。
そう言えば、
菖ちゃんとは、真王の彼女の名前だ。五星市一円で超有名な私立聖フローレンス女学園の生徒で、
彼女との出会いは去年のクリスマス・イヴ。チーム静垣が繁華街の裏通りで、彼女がナンパされかけていたのをカツアゲされていると思い込んで助けたのがきっかけだった。
その後、正月明け頃に、菖の父親__つまり安音寺ホールディングス社長__から直々に礼があった、という次第だ。
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