色褪せないで 【10:決断】

 帰りの電車の中では、僕の絆創膏だらけさが妙に浮いたようで、僕らは黙り込んでしまいました。

 車窓に差し込む西日を浴び、僕は昨日の返答を考えました。

 ……昨日のことには、ごめんと伝えよう。ヒカルには、僕じゃない、もっと釣り合う男がたくさんいるはずだ……


 電車は滑るように五星駅に入り、停まりました。僕らも大勢の乗客と共にホームへと降りました。

「ヒカル、昨日の返事、まだだったでしょ」

人混みではぐれないように、僕は彼女の手を握りました。

「うん」

返事をしながら、彼女も僕の手を握り返してきます。

 ……あぁ。これが最初で最後なんだ……

 人波を掻き分け、僕らは階段を下りました。改札口に近づいた時、彼女は手を離しました。

 ……あ。手を繋いだままじゃ、改札はくぐれないや……

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