色褪せないで 【7:嵐の前の...】

 昼食を堪能たんのうした僕らはショッピングモール内の散策を再開しました。

「ねぇ、チキン」ヒカルが言います。

「プリ撮りにいかない?」

「プリってことは、ゲーセン?」

 ……え……僕、ショッピングモールのゲーセンとは、メチャクチャ相性悪いんですけど……

「ん? どうかした?」

「……実は僕、こういった所のゲーセンと相性が悪くて、入ると毎回のようにカツアゲされちゃって……」

 これ本当。夏休み中に既に一度やっていて。

中学の時の仲間と、地元のショッピングモールに出かけた際のこと。ゲーセン横のトイレでヤンキー一派に捕まって、多目的トイレに連れ込まれ。有り金全部巻き上げられたんです。

結局それは、ケンカの強い友人二人が一芝居打って取り返してくれたんですが……。

「大丈夫だよ」と、ヒカル。

「今、風花かざはな市内で荒れてる中・高はないらしいから」

「え? それ、どこ情報?」

「もちろん、ゴシ板よ!」自信たっぷりにヒカルは言いました。

 ……ゴシップ板、略称ゴシ板。別名、誤死板。ガセネタじゃないよね、それ?……

「平気だよ、行こう!」

 僕はゲーセンに連れて行かれることとなりました。

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