色褪せないで 【4:行きの電車内】

 ……というのが昨日の話です。

 今、僕らは風星かざほし線に乗って、風花かざはな市へ向かっています。何でも、風花駅前の大きなショッピングモールがリニューアルしたそうで、五星いつぼし市一円のティーンエイジャーの激熱スポット……なんだそうです。

「あの……ヒカル」僕は尋ねます。

「風花グランネーヴェってショッピングモールのリニューアル、そんなにすごいんですか?」

「うん。既に行った、って子の話を総合すると、そうみたい。だからあたし、すごい楽しみにしてたの」

「だからって、僕じゃなくても誘う相手はいたんじゃ……」

「だって昨日、あんなこと言っちゃったでしょ? それに返事をもらうためにチキン呼び出すのもなぁ……って思ってたら、ここへ行くつもりだったの思い出して、渡りに船よね! って思って」

 ……うわー、女の子って超打算的……

 「あのね、チキン」

「ん?」

「中学の同期メンが今の様子見たら、信じられないって思うんじゃない?」

「うん。確かにね」

 ……そうだ。あの頃の僕らには、この状況は想像できなかっただろう。

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