色褪せないで 【1:文化祭の事件】
そもそものことの起こりは、昨日まであった学園祭でした。一昨日が学内向けの発表日で、昨日は一般公開日でした。
僕はクラス発表の当番の合間を縫って、同好会の仲間と校内パトロールのボランティアをしていました。
僕が同好会の発表展示の教室で、守り番をしていた時のこと。
「ねぇっ! チキン、大変だよ!!」
突然、部屋に飛び込んできたのは、
「マエヒロ、どうしたんですか?」僕は尋ねました。
「どうしたも、こうしたもないんだ! ヒカルが、アモラルな人々を追いかけて行って……」
「えっ!? どこへ?」僕は訊きました。
「B棟の三階」とマエヒロ。
「B棟の三階って……、……立入禁止エリアになってる所じゃないですか!? マエヒロ、今すぐ、会の一年坊っ子一人か二人呼び出して、臨時の守り番させて! それから生指の先生誰か呼んできて下さい! 僕はとりあえず現場へ行くので!」
言うなり僕は駆け出しました。
……ヒカル、怪我するんじゃないぞ……
なぜか僕の脳裏に浮かぶのは、傷ついて泣きじゃくっている彼女の姿……。
不安を打ち消すためかのように、僕は廊下を疾走し、現場へと向かいました。
現場の一階下、B棟二階の踊り場に駆け込んだ時、僕の心配は
上から降ってくるヒカルの声。中学の頃に散々聞いた、ちゃらんぽらんかましたり、ポカったやつに雷を落とす時の、あの声。
……またハデにやってるなぁ……
立入禁止エリアに踏み込む、ということもあって、僕は一度周囲を確認します。そして、一気に上階へと駆け上がりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます