第9部 イベントの始まり

 時刻は11時57分俺とアキは初めてこの世界に来たときの広場についていた。


「少ないけどプレーヤーが何人かいるみたいね。」


 回りをみながらアキは話しかけてきた。確かに俺も回りを確認したが武器を装備しているプレーヤーっぽい人間が7,8人位いるのがわかった。一応この世界の住人みたいな大人や子供も広場に何人かいるようだ。


 時計の針が12時を差した。そうすると広場の時計塔から鐘の音が聞こえた。それと同時に軍隊の足音が広場の中央向かってるのが聞こえた。その先頭には40代くらいの中肉中背な貴族っぽい服装をしているやつが広場の中央で立ち止まった。


「皆の者注目せよ。」


 貴族の横にいる甲冑を着ている男が大声で叫んだ。その瞬間に回りのプレーヤーや住民が注目した。


「こちらにおられるわ、このルーキーロードを納めているシルフィード家、領主シルク・シルフィード様なるぞ。」

「私の名はシルク、よくプレーヤー達はここに集まってくれた。まず礼を言おう。」


 そう言うとシルクは頭を下げた。


「さて今回は今ここにいるプレーヤーの皆に頼みがある。それはルーキーフォレストにでたゴブリンエリートの討伐の依頼だ。」


 辺りがざわついている。こんな広場のど真ん中でゴブリンを討伐してくれと領主自ら頼んで来ることに皆何かしらの違和感があるのだろう。

 そもそも俺達プレーヤーにゴブリン退治なんて頼まなくてもこの世界にいる軍隊やギルドみたいな所があるならそこに討伐を依頼したらいいと思ったからだ。


「なぁおっさん俺達は昨日この世界に来たばかりでレベルもみんな高くないんだけど、なんで俺達に依頼すんの。普通に失敗するかもだし。」


 チャラチャラしてそうな男は領主に質問をした。タメ口が気にくわないのか横の甲冑を来た男が何か言おうとしているのをシルクが止めている。


「この世界の伝承に『異世界より訪れし勇者がいるのならば、この世界の住人は試練を与えよさすれば世界の危機から救われる』という伝承がある。世界の危機が訪れているかは分からぬがワシはこの伝承通り動いてるという訳だ。」


 そんなはた迷惑な伝承があるんだなぁとか思ってるとアキの口が開いた。


「話はわかりました。じゃあシルクさんは報酬として私達に何を与えてくれんですか。」


 確かに凄く大事な話だ。報酬もなく他人の為に動くの俺達プレーヤー側がこの世界の住人になめられる可能性もある。


「報酬はゴブリンエリートの討伐した時の基本報酬とこの世界にある1つめの隠しダンジョンの情報ではだめかの」


 俺達プレーヤー側は全員顔を見合わせた。皆驚きと驚愕な顔をしている。ってか隠しダンジョンの情報の解禁早すぎじゃね。


「わかりました。私はこの依頼を受けさせていただきます。コウヤあんたもよ」


 まぁこうなるとわかってたし、反論はないむしろ俺もこの話は受ける気でいる。


「はいはーいそこの姉ちゃん達も受けるなら俺たちも受けるぜ。」


 さっきのチャラチャラしてる男も賛同しこの場にいた。全員がこの依頼を受ける意思をシルクに伝えた。


「それでは勇敢なプレーヤー達よ頼んだぞ。討伐したさいは私の家に来たら報酬を渡そう。では健闘を祈る」


 そう言ってシルクは甲冑をきた軍隊をつれて帰っていった。


 そして俺達プレーヤーは近くの酒場に入り今後の作戦を練り合わせた。男は7人と女は3人だ。ソロのプレーヤーは男が1人づつで2人いて俺とアキを除いた残りのプレーヤーは6人でパーティーを組んでるそうだ。


 話し合いの内容はまず今回のゴブリンエリートの討伐はこの10人で行うこと、ゴブリンの習性で現在わかっている限りの情報交換、報酬の山分けの仕方、そして個々の能力や得意武器の把握、それによるみんなの戦闘配置などを話し合い今日の午後からはまずゴブリンエリートの棲みかを調査をして解散することが決まった。それとゴブリンは夜行性ということで明日の日の出と同時に棲みかを奇襲することが決まった。


 みんなイベントで食料や戦いの準備はしていたらしく、このまま酒場を出てルーキーフォレストに俺達10人は向かった。

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ソウル クリエイティブズ beeeyan @beeeyan

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