弟4部 ゲームのチュートリアル3

「長々しい説明をご清聴していただきありがとうございました。」


 そういうとテンは深々とお辞儀をしてきた。


「666人のチュートリアルが終わり次第ってあとどれくらいで終わるの?」

「はい今666人目のプレーヤーがログインして別のAI天使が説明を開始したくらいですね。」


 そういうとテンは後ろをむいた。

「私案外あなたとの会話楽しんでたんですよ。ありがとうございました。」

「いやこちらこそありがとな。テンの説明は分かりやすくて正直助かったよ。」


 そういうとテン振り返った。さっきまで笑顔だった表情がキョトンしていた。


「驚きました。普通こんな話をすると怒ったり、泣くのが普通の反応ですよ。現にほとんどの人は怒りを露にしてます。コウヤは変わってますね。」

「いや確かに少し怒りはあるんだけどテンはただの案内人だし、テンに怒ったり、文句を言うのは筋違いだろ?

 むしろテンは俺にゲームの説明を丁寧にしてくれたんだから感謝はしてても怒りはないよ。だからテンありがとな。」


 俺はテンに笑ってみせた。

 そうするとテンの顔は少し赤くなりまた後ろを向いた。


「コウヤあなたはやっぱり変わってますよ。私達AI天使は今回このゲームの説明をするにあたり、憎まれ口や罵倒を浴びることを予測していました。それなのにコウヤは私に感謝するなんて…おかしすぎですよ。」


 なんでこいつ少し顔が赤くなってんだろ。熱かな。そう思った俺はテンに近づいて、テンの前に立ちオデコをさわった。


「き、急に何をするんですか!!」

「いや熱があるか確認したんだけど」

「私はただのプログラムですよ。熱なんてあるわけないでしょ。」


 そういうとテンは俺の手を払った。

 人が心配してるのになんて失礼なやつなんだよこいつは。


「だいたい私はクリエイティブズ カンパニーの一員ですよ。あなたを私達の奴隷にすることが目的なんですから、私達と仲良くしない方がいいんじゃないんですか。」

「そういえば俺奴隷にされそうなんだよな。」

「そうですよ。だいたい乙女の柔肌に簡単にさわるなん……」


 テンが急にだまりだし真剣な顔つきになった。

「どうしたんだよ急に黙りこんで」


 テンはまた大きく息を吐いた。


「お待たせいたしました。今最後のチュートリアルの説明が終わったみたいなので、ソウル クリエイティブズの世界に飛ばしたいと思います。」

「おい急だな。」

「一応ゲームの世界ではあなたの容姿はそのまま反映することになりますのでもし身なりや髪を切るなどはゲーム内で行ってくださいね。」


 最後にテンがまた笑顔になった。


「本当は運営側としてこんなこと思ったらダメなんでしょうけど……コウヤさんどうか生き残ってくださいね。その時はまたお会いして色々お話ししてくださいね。」


 この時体が少しづつ光の粒子になり初めてきた。


「まぁめんどいけどまだ自分の意識はなくしたくないから生き残れるように頑張るわ。」

「はい楽しみにしてます。最後にコウヤさんの本当の名前教えてもらってもいいですか?」

「『桐生 勇』次回あったときに名前、忘れてんなよ。」


「あっはははは、やっぱり面白いですねコウヤの要素一切ないんだもん。」

「うるさいほっ……」


 コウヤは完全に光の粒子になりその場から消えていた。


「行っちゃいましたか。」


 ただ1人の空間でテンは少し寂しそうな表情になっていた。


「AIの私がこんなこと思うのはすごく変だけど、もし神様がいるならどうかコウヤが無事に生還できます様に。」





「あっクリア報酬の話するの忘れてた。まぁいっか。」

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