第2部 ゲームのチュートリアル1

「私の名前はテンと申します。ここでこのゲームのチュートリアルを任されているAI天使です。始めにあなたのプロフィールを設定させていただきます。こちらの欄に記入をお願いします。」


 すると目の前にiPadくらいの大きさのタッチパネルが空中に出現したので画面を確認してみた。


「それは『アイタッチ』といいます。本人しか見えないし、直接持たなくてよくて、出し入れも、アイタッチ出ろって念じるだけで出るし、消えろって念じるだけで消える代物です。一応レベルやステータスの確認、この世界の通貨とか容量は決まってるんですけど荷物の出し入れとかもできます。」

「ふーん、なぁプロフィールってニックネームの欄しか出てきてないんだけど。」


「はいこのゲームはリアリティーと自由度を追及して作られているゲームなんですよ。アバターなどはゲームにログインした時に、ドリームボールが身体スキャンを行って作られます。だから必要なプロフィールは名前だけで十分なんですよ。」

「そうなんだありがとう。」


 っていうかあの玉見たいのドリームーボールっていうんだ……名前ダサすぎだろ。


「いえいえこれも私の仕事なので気になさらないでください。」


 ニックネームかぁ、これが正直一番の迷いどころなんだよな。

 そんなことを考えながらも俺はタッチパネルもといアイタッチを操作して『コウヤ』と入力した。


「すごいシンプルな名前ですね。」


 ほっとけ


「今ほっとけって思ったでしょ。」

「なっAIは人の心も読めるのか!?」

「図星ですか。いやコウヤの表情がすごい分かりやすいだけですよ。」


 まぁ否定できないよなぁ。よく顔にでるって言われるし。


「では次に武器を決めてもらいます。」

「武器の前に職業とかないの?あるなら先に職業決めた方が武器も決めやすいんだけど。」

「はい、この世界には職業というものは存在してません。その代わりスキルという概念があります。例えば魔法使いになりたいなら実際に魔法を使える人に弟子入りしたり、魔法書を読んだり、ある一定のスキルを集めたら自分で魔法を作ることもできます。そしてプレーヤーの皆様にはスキルが1つもない状態で始めてもらいます。長くなりましたがスキルの説明は以上になりますが他に質問はありますか。」


「今言った説明以外にスキルの獲得方法は?」

「それこそいっぱいありますよ。その人の潜在的に持っているものが目覚めたり、買うもの、特定の行動をすれば手に入るもの、特定のダンジョンを攻略したり、イベントなどでも手に入ったりします。」


 思ってた以上にこのゲームは複雑だと感じた。複雑過ぎて正直めんどくさくなってきた。


「あと1つ、もちろんレベルの概念はあるんだよな。」

「はい、レベルの概念はありますよ。ステフリとかもアイタッチからできるようになってます。」

「ありがとうわかったよ」

「っで武器はどうしますか?」


 微笑みながら天使は聞いてきた。


「ちなみにどんな武器があるの?」

「大抵の武器は装備できるようになっています。剣や槍に弓矢、大剣なんかもありますしなんなら銃とかもありますよ。一応魔法とかも使える世界ですので魔力を高める杖とかもあります。」

「いやちょっと待てよそれだったら、銃とか殺傷能力が高い武器が凄く有利になると思うんだけど。」

「その点は大丈夫ですよ。私達が渡す初期装備の利点や欠点はありますけど、性能はほぼ統一されてるので銃とかの殺傷力は剣やその他の装備とほぼ一緒です。それにHPとかのステータスの概念があるので、武器はそのステータスの底上げに使うもので、攻撃を受けてもHPが減るだけです。なのでHPがゼロにならない限りはゲームオーバーになりません。」

「つまり武器はステータスの底上げにしかならないってことなんだな。」


 っということは使いなれているような武器の方がいいということか。

 俺は少し考えた。


「じゃあ刀を頼む。」

「はい刀ですねかしこまりました。」


 テンがそういうと光の粒子が現れて、俺の左側の腰本に粒子が集まり刀が形成された。

 昔剣道を少しかじってたから日本刀がすごく手に馴染むし、しっくりくる。


「では細かいことは実際に経験したり、アイタッチの説明欄のところに記載されていますので、時間が空いたときにでも確認してください。」

「りょーかい。じゃあ一回ログアウトしたいんだけど、アイタッチにもログアウトの項目はないし、どうやってログアウトしたらいいん?」


 正直説明を聞いていて内容が難しすぎて頭が痛くなってきたし正直もう帰りたい…


 話をした瞬間にテンはすごい笑顔になった。その笑顔に俺は少し心を引かれてしまった。


「このゲームでログアウトはありません。」


 この時俺は面倒ごとに巻き込まれたと自分に嫌気がさした。

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