文章にいきおいがない作者へ

 文章が冗長になる。


 小説を書きはじめた人によくあることだと思います。


 つい、いらないことを書きすぎる。文章が長くなる。わかりきったことを書く。



 たとえば、

「太郎はグラスの水を飲むために手を伸ばした」なんて書く必要はありません。

「太郎はグラスをとった」で充分です。


「太郎は花子とうまくいくということをいつも考えていた」これもだめです。

「太郎は花子のことばかり考えていた」これで伝わります。




 とにかく、一度書き上げた文章に目を通してみてください。

 どれだけ削れるか、言い方を変えても意味が通るか、考えてみてください。


 代わりになにを入れられるか?

 どうしたらテンポよく、かつ急ぎすぎない印象になるか?


 常に考え続けて、「工夫」するのです。



 私ははじめて大長編を書き上げました。33万文字でした。そのあと、この「文章を削る」作業をしたところ、29万文字にまで減りました。4万文字は要らなかったということです。


 ただでさえ、読者の「時間」を奪って、読んでもらうのです。

 不必要な時間をとらせては申し訳ないという、ちょっとした「負い目」を感じてもいいと思います。


 大嫌いな作文の宿題のために、文字数を稼ぐような作業は絶対にしてはいけません。それは読んでくれる読者を馬鹿にする行為になります。




 読者は大切です。

 精一杯、こちらからも愛を伝えてください。


 なるべく簡潔な文章で、手間を取らせないように。

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