オリジナリティを模索する作者へ

 どこかで見たことのあるような書き方。

 どこかで見たことのあるようなセリフのくせ。

 どこかで見たことのあるようなキャラクターたち。


「オリジナリティ」という言葉は、小説を書く人にとって、呪いです。


 みんながそれを欲しがっている。みんながそれを探している。


 でも、オリジナリティって、そんなに大切ですか?




 宮崎駿はこんなことを言っています。


 模倣は否定できない。そこから生まれるものがあるから、と。


 宮崎さんも庵野さんも、あの時代のオタクに言わせると「パクリばっかり」だそうです。私にはわかりませんが、ありとあらゆる部分にそれがあるそうです。


 でも、オリジナリティにあふれているように感じる。それはなぜか?



 いろいろなところから、少しずつ拝借しているからです。





 たとえば、一人の作家に傾倒して、影響をバリバリ受けた小説を書いたとしたら、それはパクリです。劣化版と言われても仕方ないでしょう。適当に真似するとそうなります。それはやってはいけません。


 でも、百人の作家の、いいと思うところを少しずつ集めて作った小説は?


 それは、あなた一人の、オリジナリティあふれる作品に昇華されます。



 物語というのは、実はそんなにパターンがないのです。

 すでにシェイクスピアの時代には構造が出し尽くされているのです。


 しかし、なにを組み合わせるか。どういうキャラクターと、どういう舞台設定で、どういうストーリー、そして演出を加えつつ、どんな文体を構築していくか。



 これらはただひとりの作家、つまり、あなたの作業です。


 パクリ、おおいに結構。


 しかし一人のアイディアをそのまま使ってはいけません。



 ぜひ、いろいろなものを吸収してください。

 民話や神話であれば、パクってもだれも文句は言わないでしょう。

 誰も知らないような外国人作家の小説を読む。

 映画を観る。

 落語を聞く。


 どれもすばらしいです。


 ぜひ、組み合わせてください。



 それがあなたのオリジナリティになります。

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