まさかの登場! マグレブ少女!?

『うおおおおおおおお!』

『またなのね……』

 今日も、少女二人が同時に互いの頬を殴っていた。

 前回の話を見ればわかると思うが、ゆりかごちゃんとリニアちゃんである。

 そして、もちろんそのあとは……。

「これで許してくれますの!? 昨日あなたのケーキ勝手に食べたこと!」

「ああ、痛みわけだ。一緒に買い物でも行こうぜ!」

「わーい、お姉さま大好きですのー❤」

『……ホント仲いいね、君たち』

 こうして、ラブラブお買い物デートに出かけるのだ。よく飽きないものである。

 しかし、そのときは誰も知らなかった。新たなる来訪者はすぐそばにいたということを……。


**********


 いつも通りくつろぐアイちゃんとゲートちゃん。

「ねえ先輩、ちょっと聞いてよ」

「なに?」

「山手線、もう新車入ってるらしいよ」

「え? それってだいぶ前からじゃなかった?」

「え~? つい最近のことだって~」

「もう最新型が出てから二年は経ったわよ?」

「え……、二年……?」

「そ。確か2016年のことだから」

「……まだ数ヶ月しか経ってないような気分だった」

「……それホントに思ってたの?」

「うん。というか、2008年が10年前だっていまだに信じられない」

「…………」

「それどころか1990年代まではまだつい最近のこと」

「それ重症だからね? わかってる?」

「ちなみに、これの出典は作者(16・高校生)の感覚だからね」

「生まれる前の出来事すら最近のことだって思ってたの、あの人!?」

「そうらしいよ」

「……鉄道オタクの感覚って狂ってるわね……」

 そうなのだ、鉄道オタクはどこかしら狂っているものなのだ。主に時間感覚とか(作者の実感より)。

 にしても98年からもう20年か……。信じられねえ、700系が登場してからもう19年も経っていただなんて……(時代錯誤)。

 そんなことを話しながらゆっくりと時間を過ごしていると。

「すみません、ご一緒してよろしいでしょうか?」

 リアルお嬢様がそこに立っていた。あのリニアとか言うなんちゃってお嬢様とは違う、なんと言うか、雰囲気がすごかった(小並感)

「えっと、あなたは?」

「私は、リニア同期シンクロナスモーター。略称はLSMですわ。まあ、気軽に“シンクロナス”とでもお呼びくださいませ」

 しかし、一つだけ不自然な点があった。

「じ、じゃあ、シンクロさん」

「なんですか?」

「な、なんで浮いているんですか?」

 そう、彼女は性格や雰囲気だけではなく、体そのものまでふわふわ浮いていたのである。

「……それは……まあ、磁気浮上マグレブ式だからかしら」

「え? なんだって?」

「…………そ、そんなことは気にしなくってもいいのですわ」

 ゲートちゃんとアイちゃんは顔を見合わせて

「あの人絶対何か隠してそうよね」

「お菓子とか?」

「なんでそうなるのよ……。更新停止していた3か月強でキャラクターが迷走しちゃったの?」

「ちがうよ。とにかく、ちょっと今の反応が怪しかったよね」

「無理やり話を戻したわね……」

「探ってみる必要はあるかも」

「そうね」

 二人は同時にこくりとうなづいた。

 そうしてシンクロちゃんのほうに顔を向けると、そこにはいつの間にかティーセットが用意されていた。

「さあ、お茶の時間にしましょう」

(前回リニアちゃんが破壊したせいで)壁がトタンで塞がれた、一見やくざのたまり場にも見える小汚い倉庫のような空間には不釣り合いなおしゃれなテーブル。さっきまで二人が座っていたソファーには白いカバーがかけられ、清楚かつ可憐な世界を作り出している。

『え…………?』

 二人は驚きを通り越して、開いた口がふさがらない。

「あら、お邪魔でした?」

『いやいやそういうわけでは』

「では、お茶会ですわ」

 二人の目の前には紅茶。その香りが彼女らを包み込み――。

『はい、お茶会をしましょう』


 このあとめちゃくちゃお茶会した。


 時間は猛スピードで過ぎていき。

「あら、そろそろ帰る時間ですわ」

「そうなの。本当にありがとう」

「いえいえ、こちらこそ。楽しい時間をありがとうございますわ」

「お茶会楽しかった! また来てね!」

「はいはい。また来ますね。今度はまた別のお菓子でも持って」

 そうして、彼女は出ていった。

「結構いい人だったね」

「そうね。彼女の人のよさはちょっと心配になるくらいだわね……」

「だね……。あ、あの人お茶会セット忘れていってる!」

「ホントだ。届けに行かないと……」

 そんな風に話していると、出かけていた二人が帰ってきた。

「ただいまー」

「お帰り、かごちゃんリニアちゃん」

「……なんですの? そのめちゃくちゃきれいなティーセット」

「ああ。別のリニアの人が来たの。ほら、リニアシンクロナスモーターさん」

『えっ』

 言った瞬間、ゆりかごちゃんとリニアちゃんの顔から血の気が引いた。

「あの人、紅茶なんて飲まねーだろ」

『は?』

「そうですの。もしありえるとしたら……」

『??』

「ああ、ありえるのは……」

『えっ、なになにどういうこと?』

 興味津々で聞く、インバータの二人。その二人も、次の瞬間、背筋が凍った。


『ありえるのは――――死んだはずの、宮崎実験線のお姉さんだ』


**********


 宮崎実験線


 1977年完成。最大総延長7.0km


 無人走行で517km/hを達成した事がある。

 当初はT字型ガイドウェイだったが、1980年よりU字型に改造し、有人走行実験も1982年に開始した。

 国鉄から鉄道総合技術研究所に研究を引き継がれた後も実験は続けられた。

 1991年10月3日、実験で使用されたMLU002型車両が消失する事故がおきる。

 その後数年使われたが、7kmという短い全長では実験にならなくなったため、1997年に、現在も稼動している山梨の実験線に研究を引き継がれる。


 そのときに、リニアモーターカーの走行試験は終了している。


 以上、難しい説明終わり。


 更新が遅くなって、すみませんでした。

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