第2話
次の日、私は、いつもより早く起きた。支度を済まし、今日も大きく深呼吸をする。朝だ。
「元気になってるかなー。次も一緒に外で遊んでくれるかな?」
その事で頭がいっぱいだった。
階段を降りて今日も「おはよう!」と挨拶をする。いつもと変わらずここは賑やかだ。少し早足に次の階段へ。そして、
「おはようございます」と。しばらく挨拶をして回って。見つけた。
「おはよう!」
声をかけた。
振り向いた顔は昨日より少しだけ晴れていた。
「昨日のご飯美味しかった?」
と聞くと
「うん、美味しかった!」
私は喜んだ。でも、まだ雲がかかっている。どうしてだろう?
答え合わせをしよう、すかさず質問をした。
「今日も一緒にご飯に行こう!」
雲が大きくなった。
「また今度ね。行きたいんだけど道のりが遠いんだ。」
諦めたく無かった。
「でも、外は美味しいご飯も楽しい事もあるから今日も行こう?」
雨が降った。
「めんどくさい、いつもと変わらないのが好きなの」
降った雨が土を溶かして1匹の「モグラ」を閉じ込めた気がした。
「そうですか。」
次からの付き合いも考えて懇ろに、でもどこかガサツに会話を終え、仕事に戻った。いつも通りに仕事をしたのに終わりまでの時間を長く感じた。
神様は「土竜」を叩いた。
外までの道のりが遠い。洞窟の中で何かに掴まれた足が重く、階段を登るのが辛かった。外は朝から夜に変わっていた。
「夜が頑張ったんだ」
曇っていても夜が分かる。朝は朝が頑張っていたんだ。そう思った。朝が無ければ昼がない。昼が無ければ夜がない。夜が来なければ朝が来れない。それぞれが仕事をするから成り立つ時間の中にある景色。朝には見えなかった星が雲の間から確かに目に見える。何も考えなかったその景色を、暫く眺めた後、私は大きく深呼吸をした。
明日は雲無くなるかな。
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