モグラ叩き
@kemusi
第1話
鳥が太陽が大地が草木が広がり無数に自由を告げる。そのほんのすぐ下には長く永遠に続く洞窟が。私達の身近なほとんどがここで暮らしている気がする。
日差しが気持ちいい。鳥が鳴く。確かにその声を聞きその場で大きく深呼吸する。確かに外の空気を吸った後、私は、「今日も行ってこよう♪」と洞窟の中へわざわざ潜るのだ。洞窟の中は楽しい。見えている階段をおり今日も皆んなに階段の場所を教えて
「一緒に外にいこう」って。
外に出たら自由時間。
「またここで会えたらいいね」って。
伝えに行こう。
洞窟の中には色んな人がいる。つるはしを持って洞窟を広げてくれている人。洞窟に灯をともし皆んなに感謝される人。何人かで楽しそうにご飯を食べて笑っている人。そういう人達に笑顔で
「おはよう!」って挨拶をする。
私はここには元気を貰いにくるだけで用事はない。もう1つ階段を降りて働く。こっちには少し困る人が多い。穴は上に掘りましょうって書いてあるのに下に掘ってしまう人。楽しくなさそうに仕事をする人。あっちで働こうって言ってるのにその場にいる人。そういう人達には
「おはようございます」と。
今日も私はここで働こう。確かに外で深呼吸をしたのに少し不安がある。
ここの洞窟には少し賢い人がいる。今日もこの洞窟で皆んなに仕事を分け与えてくれるのだ。私は、言われた通りに言われた事をできるように頑張ったから、ここにいる人と仲がいい。皆んながご飯を食べれる様に食器を並べ、丁寧にテーブルを拭く。つるはしで穴を掘っている人にタオルを持っていく。ホコリを拾ってゴミ捨てをする。色んな仕事をしていたら、お昼が終わってしまう。楽しい。しばらく休憩していると、顔色が悪い人を見つけた。楽しくない、しんどいって。私は、賢い人に言われてる気がするからその人には、「外でご飯を一緒に食べよう」
って言って夕飯を外で食べる約束をした。
仕事が終わって一足早く外に出て支度を済ませ、空気が美味しい。何食べよう。と考えながら、また洞窟に入っていく。「おはよう!」と朝に挨拶した人たちは皆んなでお酒を飲んでいた。一緒に飲む?って言われたけど今日はごめんね。丁寧に断った後に約束した人を迎えにいった。支度に手間取っていたその人を待ち、手を差し伸べながら階段を上がっていった。
「今日何食べたい?」
と聞くと
「分からない」。
「好きな食べ物は?」
と聞くと
「分からない」。
私は洞窟から出るとき頭を出した。その人は洞窟から足を出した。
「今日も洞窟に戻って寝るんだ」って。
明日は元気になってるかな。
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