運命の子Ⅶ エピローグ
かくして、
オドと名付けられた其の子は誕生と共に両親を失い、母方の祖父母によって育てられることとなる。
両親の遺体は見つからなかったが、部屋にキーンの剣とタマモの指輪が残っており、それが形見としてオドに渡された。魔剣は主キーンの死と共にその効力を失っており、指輪も中央に四角いサファイアが施された決して高価なものではなかったが、オドには数少ない両親との繋がりであった。
オドは祖父母のもと天狼族の集落で成長していった。
オドには他の天狼族の人々といくつか相違点があった。
まず、オドは天狼族が通常は高い適性を示す魔法がまったく使えなかった。普通ならば最低でも自分自身の中の魔力マナの流れを把握できるはずが、オドは一切それができなかった。
次に、オドは通常の天狼族に比べて身体からがの成長が遅かった。普通ならば天狼族は10歳には身体つきがガッシリとし始め筋肉が大幅に成長するが、オドは細身のままであった。その為、10歳から認められる狩りへの参加を懸念されたが、蓋を開けてみると父親譲りの感性と弓の腕前によって問題なく振舞えた。
しかし一番の違いだったのが、オドの髪の毛色であった。
天狼族は暗い灰色の中に金色の混じる髪色をしているのが普通であるが、オドの髪は深い藍色をしており、光に反射すると藍は金色をその中に映す。つややかなオドの髪は細い身体も相まって天狼族の中で独特の雰囲気を纏っていた。
天狼族の子供は12歳の時に
大星山に一条の星が流れ落ちて約11年、オド・シリウスにもその時が近づいている。
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