#3・サーマヴィーユー1




 そう大した話ではなかったが。

 あとから思い返したとき、きっかけは自分だったのかと、サーマヴィーユは振り返る。

 ことの――一泊二日の里帰りの前日、ふとしたことからイディア・アイアミアという女と知り合ったのだ。


 軽食喫茶店の席に着くやいなや、イディアが深々と頭を下げた。黒い、光を内側に溜めこむような、豊かな髪が揺れる。蔦あけびの甘い香りが漂った。


「本当にありがとうございました……なんとお礼をしたらいいのか」


 森からやってきたサヴィが、最初にオートと知り合った時のように、もめ事に割って入って叩きのめしたのがきっかけだ。望まれない生殖行為を目的とした輩どもが相手でも、命を取らなくなったのだ。ずいぶんと優しくなったものだぞと、そんな自分の変化に戸惑っていた。体の一部は切り落とされて肥料にしておいたのだから、悪人でも役立たせるという社会への貢献までしてしまった。

 たちの悪いナンパで、よくあることだと人間種族のイディア(イーデでいいですよと言われた)はさらりと言ってのけた。

 相手が普通の女子供だったら、サヴィは「大したことじゃないから気を使う必要などないぞ」と答えていただろう。

 だが、この時はいろいろと重なりすぎていたのだ。

 エルフという恩人の、それでもぶしつけな視線を感じたのだろう、イディアが己の体を抱くように動いた。それだけで全身あちこちの肉が動いた。

 ギフルア代行事務所の面々の中でも、オートを除いては、身内の恥だからと話していないことだったが。サヴィが街に暮らしているのには、自分のためと、もう一つ兄の婚姻の相手を探すためでもあった。

 兄が求めている、乳尻ふとももに肉がついていて、未亡人で、そのくせ致した経験がなくて、年上の女性を。もうぶっちゃけ存在するわけがないものを。

 彼女はもう一度、イディアの体をまじまじと眺めた。イディアももう一度身をぎゅっと縮めた。

 肉だ。あまりにも肉っぽい。自分の体とはまるで異なっていて、兄が言う、乳にも尻にもふとももにも肉がしっかりと備わっていた。それでいて肥満の気配が忍び寄ってきているということもない。いわゆる、男性にとっての魅力的な体つきだ。

 さて偶然というものはどれだけ起きるものなのだろうかと、サヴィは考えてみた。


「ではイーデ……私の、双子の兄に会ってもらえないだろうか。タルモー=スケィル大森林に暮らしているのだけれど」


 さっくりと断られて、こういう無理筋な話になってくるのだから、礼などいらないという風に話しを持っていく予定だった。


「お兄様ですか。わたしごときを求めるのであれば、いつでもよろしいですよ」


 サヴィの顎をつたって、汗が一滴テーブルに当たった。冷や汗だった。

 まじまじと、向かいの席に座る相手を見た。適当な相槌だということも、からかいの色もない。


「すまなかった、冗談だぞ。忘れてもらっていいから」

「いいえ。そう取り繕わないでください。本当に興味があるのです」


 真摯な目だった。圧を受けてサヴィは身を引いた。紫詩檀の背もたれが楽器のように鳴いた。


「じゃあ、これは礼を欠いた問いなんだけれども。結婚をしていたことは――」

「過去に一度だけ。すぐに先立たれてしまいましたから、ずっと女やもめをやっていますけれども」

「せいっ」


 思いっきり、頭をテーブルに打ちつけた。

 店内に音が響く。何事かという視線ばかりが集まるが、注文していた山羚羊の岳葉立てはまだ来ない。いきなりどうしてしまったのですかとイディアが慌てているが、答えるだけの力は奪われていた。


「いやまてサーマヴィーユ。まだ慌てるな、たかが二つ当てはまっただけだぞ……」

「大丈夫なのですか、サヴィ?」

「まったく問題ないぞ」

「おでこ赤くなっていますよ」


 もう一度問題ないと返して、内心、次の質問をするべきかどうか決めかねていた。

 ――同性とはいえ。私、とっても下世話な女にならないか?

 もう兄の幻想への義理立てはやめようかと真剣に悩んでいると、イディアが顔を赤らめていた。


「その、わたしは……」


 口が開かれる。言いにくいのだろう、そのまままごついていた。音が鳴る前の、わずかな呼気、喉の動きですら艶っぽさを残す。サヴィは、あいつが――オートがここにいなくてよかったと、なぜだかそんなことを思った。


「そういうことを、致したことがないのです」

「そいっ」

「ああ、サヴィ!」


 大きな音が二つ出た。一つはサヴィが頭を二度打ちつけたからで、もう一つは聞き耳を立てていた店内のヒトたちの驚きの声だ。あんな美人がだなんて幻想だ、ありえないということこそ証明できぬ、いやさ神の奇跡ならば。好き放題に言い散らかしているのは男ばかりだ。

 山羚羊の岳葉立て、対面には新芽紡ぎの生スープ。二人の間には薬草茶が置かれた。

 料理を運んできた壮年の男が、やけにゆっくりと水を注いでいった。聞き耳を立てながら。サヴィが一瞥すると「それはもうごゆっくりどうぞ。できれば話が終わるまで」と言い残して、そそくさと去っていったが。


「ここのお料理が好きなんです。新芽紡ぎだなんて、なかなか食べられませんから」

「でもでも、イーデは見るからに人間のようだし、兄とは寿命も違いすぎるし森の民だし私は年下だし……」


 目がぐるぐるしてきたサヴィだ。自分の言っている意味もよく分かっていない。


「サヴィ、本当に大丈夫なのですか」

「問題ない。たかが四分の三だけ当たった、それだけなんだ。最後のだけは絶対に当たらないってわかってるから、私は大丈夫なんだぞ」

「よくわかりませんけれど、恩人のおっしゃることですもの。わかりました」


 そう、最後の条件――双子の兄の、二百八十三歳という年齢。これだけは決して超えることができない、種族の隔たりだ。だからこそサヴィはいくばくかの余裕を取り戻した。

 ともかく、温かいうちにと昼食を取ることにした。

 山羚羊とは、主に角を媒介魔術の触媒として用いる動物だ。肉はその付随品という印象が強い。それはエルフも街のヒトも変わらないようだった。食べてみると余分な脂もなく、噛みごたえもあって美味なものだった。帰ったらムゥに教えてあげよう、とサヴィはおいしいものリストに書き加える。


「新芽紡ぎか、おいしいから好きだぞ」


 基本、嫌いな食べ物がないサヴィだ。だいたいのものは「おいしい。好き」の部類に入っている。


「わたしもこれが好きなんです。どこか懐かしくて」


 新芽紡ぎ――自らの根で移動する植物だ。

 サヴィにとってこれは、かつて季節の食べ物だった。いまでは常食である。

 森の種族のひとつである動樹木は、種を振りまきながら森を徘徊する。その種が芽生えると、その新芽も歩き出す。そこで、ヒトの子供よろしく、若い芽は迷子になることがある。それで森から出てしまい、充分な森の精気を受けず、中途半端な生育で止まってしまった株たちも当然存在する。それらが街の人々によって栽培されるうちに、やわらかい芽のままで成長を止めるようになった。これを新芽紡ぎという。

 ときどき、鉢植えや畑を抜け出して街をうろつき、しなびている。サヴィもそんな姿を見かけることが何度かあった。

 食事のなかごろ、彼女が代行請負というものをやっていると話すと、女はとても興味を持ったようだった。ついこの間に起きた、光導教の神と、凶作平野の神との争いについては伏せてあったが。借金取りの屋敷に押し入った話は活劇のように受け入れられた。

 イディアにとってはただの楽しいおしゃべり付きの昼食なのだろうが、サヴィにとっては違った。嵐の前の静けさだった。そのことを感じながら、心地いい弾力の肉を噛みしめた。

 食事が終わってから。

 覚悟を決めて彼女は尋ねた。半分は外れることを願って、もう半分は怖いもの見たさで。


「だけれど、未亡人だっていうことなら……前のご主人というひとは、どういう」

「何十年も操を立ててきましたけれど」イディアが切なげに目を伏せた。目の前の新芽の中に、思い出が紡がれているという風に。「時が経ってしまえば忘れてしまいます。好きになっていたことをのぞいて、すべて――」


 目の前にあるのは、何十年という時の流れを下ってきた者の若さではなかった。


「イーデ。あなたの年齢は……」


 しぃ。イディアが人差し指を口元にあてた。そのまま親指も持ち上げて、少しだけ開いた口の手前で見えないものをつまむ仕草をした。


「魔術なのかっ」


 女の、秘めたるものがあることを含ませた笑み。

 なにもない空間だった場所からきらめく泡が生まれた。はじめ小さかったそれは、イディアの吐息を受けることで育ち、膨れ上がった。

 そして弾ける。

 サヴィにはこれといった変化がなかったが。店内の様子は一変していた。


「静かになったぞ。違う、私たちへの興味を失ったのか……?」

「その通りですよ、サヴィ」


 目の前の女が、突然別のものに化けたような感覚だった。表情も体つきも、何一つ変わっていないというのに。

 ――違う。ただひとつだけ変わってる。

 それはしろがね森氏族のサーマヴィーユには見慣れていたものであり、街に暮らすエルフであるただのサヴィにとっては鏡の中でしか目にすることのないものだ。

 長い耳がイディアの豊かな黒髪をかきわけ伸びている。

 森の民、精霊と森の間に生まれた一族、エルフの証。


「どっちが幻覚なんだ」

「これまでが、です」


 であれば、イディア・アイアミアはエルフということになる。


「琥珀けむり氏族から逃げ出したのです」

「あそこから? だけど、あそこはエルフいちゆるい氏族だぞ。逃げ出すだなんて」

「わたしがいたころは、どこよりも厳しくありましたから」

「じゃあ、あなたが出ていったからこそ変わったのか……」


 けれども、とサヴィは思った。魔術の気配はまるでなかった。あるいは、発動する前の段階で魔力の起こりを感知する機能を備えた、ムゥ・チャンティであればわかるのかもしれないことだった。


「本当にこれだけなのです、わたしが扱える魔術は。自然を扱うことはめっぽう下手で。ゼントヤ先生のところで習ったのは、隠蔽と、魔術をそうとは感じさせないように使われる魔術だけです。見込みのない生徒でした」


 エルフは自然ばかりを扱うものだと思っていたから、サヴィは自分の了見の狭さをつきつけられたことになる。

 よく読書をする彼女だから、街には理詰めで殺人や財宝などの謎を解いていく小説があることも知っている。物語の中では、基本的に魔術をタネに使うことはなかった。それは『なんでもあり』だからだ。

 天を仰いだ。こんなことがあるのかと――自宅に生息するあの無益平野ではなく――タルモーとスケィルの二柱に問いかけた。


「自分を覆い隠すことばかり上手になってしまいました。アイアミアは、三日だけ夫であったひとの姓を借りているのです」

「じゃあ、歳のほどは……」

「恥ずかしい話なのですが、今年で三百になります。もう、嫁にもらってくれるお方もいないような大年増になってしまいましたけれど、誰かと一緒に暮らすことにあこがれはあります……五十年のあいだ、ずっと一人でしたから。そろそろヒトの夫婦が終わる年頃のはずです。だからこそ、新しい生活をはじめようと思ったのです。願わくば、故郷と呼べるところで」

「そうか、なるほど。兄は年上好きだから、きっとうまく収まると思うぞ」

「まあ、本当ですかっ。ああ、隠していたことは本当に謝ります。わたしにできることでしたらなんだってします。ですが、街にありながら、耳を物珍しく見られることにも動じずに、誇りのままにエルフであり続けるあなたを見ました」


 イディアの言葉には切実な響きがあった。それでもサヴィは、視線をそちらに向けることもなく、天上を見上げ続けた。


「だからこそ助けられたとき、なにか重大な縁なのだと感じたのです。その運命が、あなたの兄上につながっていると感じたのです」

「そういうんじゃない。上を向いてる理由は、怒りとは違うんだぞ」

「それでは――」


 兄の抱いていた幻想が、ここに身を結んでいたのだ。


「思いっきり頭を打ちつけるためだぞ」

「えっ」

「せーの、えいっ」


 三回いった。さすがに血が出た。


「きゃぁ、誰か、誰かーっ!」


 テーブルがちょっとだけへこんでしまったので、木を膨らませてすぐに直した。

 イディアの魔術の影響で店内が騒ぎになることはなかったが、対面で悲鳴があがった。それをぼんやりと聞き流しながら、サヴィは一つの感慨にとらわれていた。


「私にも、ついに、叔母と呼ばれる日が近づいてきたのかっ……!」


 時間の濁流が襲いかかってきたようだった。







「鍛錬だ」


 と言い残して。サーマヴィーユの双子の兄であるノールスィーユは、街が見える場所まで駆け抜けた。それが半ば言い訳であることはよく自覚していた。だがエルフの男は、己がどうしてここまで足しげく通うのか、その理由を自らの内に見いだせずにいた。

 彼が立っているのは、かつて妹であった女と別れた場所だ。あのときは星のまたたく夜で、いまは月が赤く燃える夕暮れと、それだけの違いはあったが。

 ――サーマヴィーユはどうしているのだろうか。

 心の中においても妹の名前を呼ばないわけではなかった。己の他は何者たりとも入ることのできない領分においては、彼にはまだ妹がいた。


「妹恋しさであるとでも」


 口にしてみればすぐ否定できることだった。本心からだ。やり遂げろよと言い、サーマヴィーユは祖先ではなく己に誓っていた。伝統をかくあるべしとすべて受け入れるのではなく、自らだけで進んでいった妹は、なるほど別種の強さを持っていたのだという納得があった。

 ノールスィーユは目を閉じた。背後に森を感じた。そして手前には、まったくその繋がりを得られない痩せ枯れた大地があった。黄麻樹が湿った風にそよぐ。

 飛び回る草いきれにまぎれて飛来するものを感知した。矢であった。彼に直撃する軌道ではない。街の民による悪戯か、すわ戦争の前触れかとも身構えたが、火が灯されていることもなかった。

 ――叩き落すべきかどうか。

 そうできる技量を、ノールスィーユは備えている。だがもう一瞬だけ、彼は見極めのために費やした。このまま止めなければ、矢は彼の近くにそびえる樹に突き立つだろう。森の樹を穿ったのであれば、射かけた相手の体をえぐらねばならぬ、それが森の掟であり流儀だ。

 だが彼は止めなかった。

 樹の悲鳴はなかった。矢が刺さったそばから精気があふれた。黄麻樹に穴を開けたはずのそれが、そのまま枝へと転じていく。

 それはノールスィーユがいまだ成し得ぬ、小器用な魔術の行いだった。

 街の端から森まで……ただ歩けばそれなりの時間を費やすであろう草原を飛び越して、矢を射る。狙いあやまたずに。そうできる者に一人だけ心当たりがあった。

 本人は心の底から嫌がっていたが。瑠麗弓の二つ名を持たされた女で、彼の妹だった。矢はとうにただの枝になっていた。唯一異なっていた部分は、その枝には封筒がぶら下がっているという一点のみだ。

 空力をあまり妨げぬようにと蔓草で絡められた封筒を切った。中には折りたたまれた手紙と、何枚かの厚紙が入っているようだった。

 まず彼は手紙を見た。

 挨拶もせぬままに本題を投げ込む仏頂面が浮かぶ、短い文面だった。


『幻想は存在してしまいました。名をイディア。同封する模写絵にあるような嫁候補を連れてそちらに向かいます。落ち合う場所はここで。承諾するならば木印を』

「ふむ」


 本人なりに冷静にひとりごちてから、封筒に入っている模写絵とやらを見ようとした。手が別人のものであるかのように震えて、何度も失敗した。

 気がついたときには、ノールスィーユは黄麻樹の伸びきったところに立っていた。咆えてもいた。騒がしさに嫌気がさした赤鴉が群で飛び去っていった。


「フォーゥ! ウフォーォッ! オフッオーゥ!」

「ウホホッ。わが同族に時違えの発情期でも訪れたのかと思えば、エルフが騒いでいるとは珍しいこともある。雄たけびがとても上手だな」


 彼のそばの樹に座っていたのは、森の賢者とも呼ばれる種族――ゴリラだ。対価としてなにかを求めるわけでもなく、彼らは森の手入れを行う。その結果としての尊敬を集める、偉大な知恵者の集団。


「ウホ、大丈夫かねお若いの」

「我はどこまでも冷静だが?」


 取り澄ました顔で言った。冷静だった。冷静だからこそ冷静なまま、ノールスィーユはもう一度模写絵を見た。冷静に。


「ヒヒョーォッ! フーオァーオー!」


 ゴリラが彼のために、なにも言わずに手際よく葉をすり潰して薬を作ってくれた。すぐさま飲み干す。苦みはなくまろやかな風味だった。それはゴリラの優しさの味だ。ホッホッと賢者は笑った。


「ヘファフ……」

「ホッ。聞いたことのない鳴き声だ」


 エルフの、ほかの種族よりもはるかに卓越した視力は、震えの止まらない手のうちに収まっている模写絵ですら正確に見通すことができる。

 一枚目。

 楚々とした佇まいの長耳の美女が、街の平服に身を包み椅子に腰かけている。それだけの絵なのだ。だがこの上なく彼の心を揺るがした。

 胸の下で手が組んである。まさしく視覚への暴力だった。胸は腕に乗るものなのだと彼は生まれて初めて知った。また、妹や知己の女たちがただ座ったのであれば見えるはずの、背もたれの根元がまるで見えない。

 二枚目。

 妹に借りたのか、もういろいろと丈の合っていないしろがね森氏族の服を着たイディア。恥じらいがあるのか顔を赤らめている。

 三枚目。

 今度はうって変わって顔に近づけた絵だ。どうしてそうなったのか、顔の両側に蟹鋏のように人差し指と中指を伸ばして、むりやり笑顔を作っている未来の嫁。

 ゴリラが興味深そうにしていたので、誇らしく見せてやったノールスィーユだ。


「ウホッ。毛がそれほど生えておらんな」

「アッヒャッーオーァ!」

「悪かったウホ。もう言わんよ」

「ホァォ」


 言葉を取り戻すための時間も惜しかった。手際よく魔術を形成して樹に貼り付ける。数秒、ノールスィーユの体から樹を通して、しろがね森氏族の樹上に文様が浮かび上がった。

 一度寝て起きれば朝が来る。そうすれば嫁になるひとがやってくる。

 夜が待ち遠しく、彼はもう一度咆えた。


「オッ、オッ、オォッ――」

「ウホッ、ウッホォ――」


 なぜだかゴリラがあとに続いてくれたので、孤独ではなかった。







「……うん、木印が見えた。兄も承諾したようだぞ」

「まぁ。それでは、明日ということでよろしいのですね? わたし、とても楽しみになってきてしまいましたっ」


 気分が高揚したのか、イディアが少女のように飛び跳ねた。体のあちこちが弾んだ。

 サーマヴィーユは、一回貸しただけの服がいろいろと伸びてしまったから、心の中で泣いた。

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