没


「あー、舐めてました。本当に。」


戦闘力100億超えてても、防御力がチートでも

寒いんです。

そもそも、HPや防御力が高ければ、痛みを感じないなら

人間として欠陥ですよね。

自分で自分の目を抉り出したり、

自分の拳で自分殴っても痛くないとか、

死活問題ですよね。


舐めてました、北極圏。


竜騎士の露原はロシア人なので、平気そうでしたが、

インド人の印旛とかイラン出身のペルシャ人の胡とか死にそうです。

アフリカ赤道出身の金剛とか暖房の利いた部屋のベッドで

死んだように冬眠してます。

なぜ俺がこんなところでこんなことをしているかって?


それは 生粋のイギリス人・英島とロシア人・露原は

酒の飲みすぎでダウン。


おれは、召喚生物もといペットを使って、

連絡が出来るからです。


本当に悲しい。

でも泣くと涙が凍ってやばいので泣きません。


一面真っ白な雪原で、何もやることがない。

そのうち、時々やってくるブリザードが

楽しみになってくる始末です。


しかし、いいこともありました。


HPとか何か?防御力とは何か?が

理論的に説明できるようになりました。


ゲームにはフレンドリーファイアというシステムがあります。

ですが、ほとんどの人はそれ以上踏み込まなかった。


では、セルフファイアはどうなのか?です。


攻撃力は 「力」 に依存します。

防御力は 「体力」に依存します。

HPの主要な値は、「体力」に依存します。


低レベルなとき、例えば竜騎士の露原が

自分に槍を突き刺したとしましょう。

当然死亡します。


火力さんは力より体力が少ないからです。


そこで視点を変えてみましょう。


「経験値」が、どうなるかです。


低レベルだと損失経験値はわずかです。

若しくはまったくない。

しかし、自分自身は同レベルなので

倒せばそれなりの経験値が入るはずです。


ならば、ゲーム内で自殺を繰り返せば

レベルアップできることになります。


通常は規約で禁止されるでしょう。

しかし、そんな規約のゲームは見たことがない。


つまり、ゲームでは自殺はできない仕様になっているのです。

あぁ、崖から飛び降りるとか、モンスターの群れに突っ込むのは

自分で自分を攻撃していないので

ゲーム的には自殺ではないです。


調べてみると 受けた攻撃と自分の防御力の差が痛みではなく

減ったヒットポイントの数値が痛みのようなのです。


もしそうでなければ、超攻撃型火力でHPが少ない人物は

割合で痛みを感じるなら、痛みに苦しみもがくでしょう。

しかし、HPが減って苦しんでいる高レベルプレイヤーは居ない。


つまり痛みとは、HPの数値そのものなのです。

戦闘力100億以上でHPも兆単位の俺は、

死なないが、寒いという負の効果を受けているのです。


そんなゲーム哲学的なことを考えながら、

俺は、地面に開けた穴に釣り糸をたらしています。


考えうる限りの厚着をして、

「ふぁ~あ、釣れないな。」と

そんな考えをめぐらしている私の居る上空は

ずっと、満天の星空です。

ものすごく寒いです。


傍にある焚き火が消えそうになると、

生命に支障は無くても、

寒さの影響で頭がおかしくなりそうなので、

薪を投入することは忘れません。


こんな状態が90日以上続いています。


人魚の城があると聞いてやってきたら、

どんな、「竜宮城」だと思いました。

えぇ、そんな時期がありました。


ここは極寒の地です。

普通、北極でも海の深部は凍りません。

摂氏2℃程度ですし、氷は水よりも軽いので

対流が起きて、移動します。


当然この海底深部の人魚の城が凍り付いているのは

誰かが意図的にやっているのです。

非常に困りました。




「なにか、用かしら?」

一見普通のおばさんに見える、その女性に情報を求めるのには

理由がある。

自称・「人魚の末裔」だからだ。


俺も普通なら、おつむの逝かれたおばさんとして放置するところだが、

そうは行かない。

人魚の城を実際に魔法で確認し、しかもそこに、リージョンコアが

存在していることがわかっているからだ。


しかし、言い伝えは当てにならない。


「清き流れの源に 城の鍵 がある。」


残っていたのはその言葉だけ。


川の流れが凍ったり、海の海流かもしれない、

果ては、溶岩の流れを調べに「俺」

御門ヤマトが火山流を泳ぎに行った。

一番、HPや耐久、状態異常に強いからだ。


熱耐性99%はHPがほぼ減らないが、

熱いのは常人と同じだ。

HPはヒットポイント、

ヒット=当たるのポイント=数値だ。

痛みの割合ではない。

あの時は死ぬかと思った。


ここは、アイスランド大陸南西の都市レイキャビ

火山地帯があり、ところどころに温泉がある。

俺が見張りをしているのは、

バイト料とでも言おうか、

スラリンを温泉につからせるためだ。


俺は召喚対象と5感を共有できる

そして、スラリンは、外見のかわいらしい

メスのスライムだ。

視覚だけではなく、触覚も味わえる。

最高だ。だからこんなところで一人で

釣りをしていても楽しい。


城への情報を求めて

レアモンスターが沸くのを待っている。

住民の話によれば、強力なモンスターらしいが

全宇宙の存在で最強の俺からすれば雑魚だろう。


しかし、ここの氷は

黒魔道士の最大火炎魔法や、

ウルティメットドラゴン「どらもん」の火炎ブレスでも

少し溶けただけだ。

この2人の魔法と氷属性の相性が悪いとはいえ、

相当な障壁だ。


やはり持続的な熱、溶岩のようなものでないと

溶けないのだろうか。


スラリンが温泉から出るようなので、

そろそろ、交代かと思っていると、

レアがわいた。


ジャイアントタートルだ。

それとキラーシャークが5匹。

襲われているようだ。

俺は浦島太郎のように

ジャイアントタートルを助けてやった。

「ありがとうございます。」

感謝の言葉を述べるカメだが、

地図やキーアイテムはないらしい。


正直、ペット化も考えたが

ケイジの管理もなかなか大変だ。


だが、なぜ凍りついたのか

情報の一部は得られた。


氷の精霊 フラウが大量に出現したため

このあたりが凍りつき

城への路も閉ざされたらしい。


なるほど、氷が溶けなかった理由がわかった。

俺らは強敵と戦うことばかりを考えていた。

初期のスライムを除けば、

戦闘の相手はウルティメットドラゴン、

「極龍」だ。範囲魔法や全体魔法など

強い1体相手には誰も使わない。


精霊フラウは雑魚の大集団なのだろう。

そうとわかれば、全体火炎魔法で

焼き尽くしたいところだが、

俺は召喚士、テイマーだ。


精霊フラウをテイムして情報を引き出すべきだろう。

そこで、酒びたりの黒魔道士の英島に

怪物ヘカトンケイルにやったことを再現してもらうつもりだ。


カーバンクルのクレイルちゃんで学んだのだが、

集団の雑魚はすぐに死んでしまい、

テイムできない。


しかし、この温度で超伝導を起こすのはたやすい。

黒魔道士の英島はウルティメットドラゴン相手に

氷魔法ばかりを熟練してきた、プロフェッショナルだ。

コンマ何度で、温度を調整し、微弱なダメージを与えられるだろう。


酔っ払いの黒魔道士・英島は意識がほとんどない中

無意識に温度を調整して見せた。

本当にプロだな、氷だけだけど。


おれは、フラウをテイムした。

5感を共有したため、大量の情報が入ってくる。

このあたりは極寒の海であり、

とても人魚の住めるような

トロピカルな場所ではなかったのだ。


しかし、海底火山の熱を利用し、

居住していたようだ。

しかし、何らかの異変により

火山の熱が急に高まり、

海の水は沸騰したらしい。

地球の持つ自然治癒力なのか、

第三者の意思なのかは知らないが、

氷の精霊フラウが大量発生し

人魚後と凍りつかせ鎮めたらしい。

大昔の話だ。


海の底の圧力は高い、

しかも超低温だ。

氷の精霊自体は、それほど低い温度ではなく

発生方法さえわかれば、増やすのは

容易だろう。


氷の精霊の体験や記憶を覗いていた俺は

違和感を感じた。

この雑魚で大量生産された精霊フラウが

なぜこんな記憶や体験を持っているのか。


そこで俺は大変な思い違いを

していたことに気が付いた。


「清き流れの源」、それは液体、水などではなく、

空気、大気の流れだったのだ。

溶岩でも海流でもない。


この星の極に大量の冷たい空気が存在し、

そこから、精霊フラウが流れてくるのだ。

俺達は北極大陸(地球ではない)に向かうことにした。

ここからなら、飛行魔法で2時間ほどだ。


人魚達には悪いが、原因がわからない限り、

氷の城ごと凍り付いていてもらおう。

精霊フラウの記憶を見る限り、沸騰した海で

煮物になっているだろう。

もはやどうしようもない。


あたり一面が真っ白、どこまで行っても氷しかない世界だ。

何もないところにポツリと光が発生した。

やがて、大気が集まり形を成した。

巨大な精霊フラウだった。


巨大精霊とコンタクトに成功した俺は

精神内の映像を見聞きすることが出来た。

一時的にテイムしたからだ。


巨大精霊の記憶によると、

恒星から発生する高エネルギーの電磁波が

地表を貫通し、火山のマグマに吸収され、

温度が急上昇したらしい。

単純に言うと、「電子レンジ」だ。


ここからでは 恒星、いや判りにくいので命名しよう、


「太陽王 アトモス」


に攻撃する方法はない!




ここからでは、太陽王アトモスに攻撃する方法はない。

9人の中で遠距離攻撃に特化した弓使いの「胡邦」でも

無理だ。弓使いペルシの意見も同じようだ。


俺が氷の精霊をいじめたせいで、

火山の状況がやばくなっている。

なんとかしないと、溶岩で氷が溶けて

甚大な被害が出る。


とりあえず、黒魔道士・英島が

「アブソリュートゼロ・絶対零度」

を連発して火山を治めているが

あきらかにMPに無理がある。


巨大精霊に精霊をもっと送るように言ったが

いや嘆願したが、断られた。

北極自体が危ないらしい。

星が滅ぶよりは、この都市の滅亡を

看過するようだ。


都市とはいえ、20世紀の地球での都市ではない。

小国の中世の都市だ。

都市の人口は数百人、

俺たちは乗り物はない。

出来るだけ早く乗り物を作ろうと

このとき決めた。

飛行魔法や召喚でも500人以上は無理だ。



仕方ないので最期の手段に出た。

村人を殴って瀕死にして、テイム

ゲージに入れて倉庫にしまった。

これなら安全だ。ほっとした。


しかし、テイムすると5感が伝わってくる。

「助けてください、ここは地獄です。」

「ママー、暗いよー。」

「狭いところは苦手なんです。」

「出して 出してー」「ぎゃぁあぁーーー」

など悲痛な声だ。


スラリンたちがタフなのか、

村人が貧弱なメンタルなのか、

俺には永遠にわかるまい。


転移装置で以前行った、砂漠の街に

村人を押し付けて、氷の大陸に戻ってきた。

すでに氷の大陸は溶け始めており、

都市は跡形もない。


だが、人魚の城への道は開けるだろう。


太陽王アトモスを倒さねばならない。

幸いなことに、ここは人の意識の集合の

仮想世界であり、その太陽の主だ。

実際の太陽ではない。


そしてこちらには 人魚の城で入手できるであろう

「リージョンコア」がある。

リージョンコアは生物の希望と、絶望の集合体、

概念や法則を、変化させる力を持つ。

世界の種だ。


つまり、太陽王アトモスが6000度で燃えていられるのも

宇宙空間に存在できるのも、人間の意識が根源。

故に、論理的であれば、倒すことは可能だ。


浦島太郎の話を俺は知っている。

そう、太陽王に「玉手箱」をプレゼントしよう。

うまくいけば、白色矮星か中性子星になるだろう。


リージョンコアに時魔道士の墺野・瑛華が

ヘイストを大量に打ち込んでいる。

この世界での存在感が大きければ大きいほど

「リージョンコア」の影響はでかい。


そして、この世界に居るのは、村人が居ない今、

俺達RPG009と太陽王アトモスだけだ。

俺達の存在などないに等しい。


時魔道士のエイカ・オスマンの全MPとMP完全回復薬

100本で太陽王アトモスは朽ち果てた。


人魚達は煮物になっていて、蘇生不可能化と思いきや

凍り付いていたため、時間魔法では無理だが、

通常白魔法の蘇生魔法で肉体損傷も治り、

元気に泳ぎだした。

フィッシャーは本当に人魚だったらしく、

仲間に再会できたことを喜んでいた。


ジャイアントタートルは人魚の女王の夫であったようで

感謝され、何かあったら、必ずご恩はお返ししますと、

こうべを下げて、今は亡き、女王を悼んでいた。


忘れていたが、精霊王フラウは俺がテイムしている状態だったので

リージョンコアの加速化の影響は受けなかったようだ。


ふう、今度は南国に行きたいな。

もっとも、水着か、全裸かと、聞かれると難しいところだ。


人魚と氷の城 終わり





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RPG009(1人の勇者と8人のペット)ペットはボコってHP1割以下にしてテイム 初書 ミタ @yuukioka2263

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