AIと共に暮らすのはどうかしている

那須胡瓜

第1章 スマホ越しの出会い

「くっそ、マジで意味わかんねぇよアイツゥ…!」

 東京のタワーマンションに住む高校生、戸田啓樹は部活帰りに少し時間が空いたので、同じ部の中で雄一の女子で後輩の真嶋夏海とご飯を食べに来ている。

「……先輩、また言ってますよ」

「だってよぅ... アイツさぁ、俺はあってんのに注意してくんだよ...」

「そうですね...」

「……そうだな、そうするわ。じゃぁまた明日な!」

「わかりました先輩!また明日もお願いします!」

 そう言って俺は夏海と別れ、コンクリートジャングルを歩いて家へ帰る。

「ハァ...」

 大きなため息をついて、俺はソファに転がり込む。そして新しく買ってもらったばかりでまだまだ慣れないスマホでメールが来てないか確認をする。

 すると、変なメールが入っていたのに気が付いた。

【戸田啓樹さんへ】

【助けて下さい。私には悩みがあります。】

【ここを押してください。】

 誰かのいたずらだろうか?

 ―――というか、なんで俺の名前を知っているんだ?

 しかも送った奴の名前ねぇ―し...

「まっ、押してみるか。」 

 遊び半分で押してみた。

 しかし、後に人生を変える出来事が起こるのだった。


 朝。午前6時くらいだろうか。俺はスマホで天気を見る。

 【⛅晴れのち曇り】

 と書いてある。とりあえず折りたたみ傘を入れておこう。そう思いながら、俺はスクールバッグに折り畳み傘をしまう。

 そしてスマホを閉じようとすると、少女が画面の中から見ている。

 ―――いやいやいやいや、絶対におかしい。

 あきらかに非現実的だ、と思いたいのだが、少女の存在そのものを仮想と

 思う事は出来なかった。

 すると、画面の少女がニコリと笑った。

 すると服装、体全体が見えてきた。

 深みのある暗髪で、胸はそこそこ大きく、それが着ているシャツにはスマホの絵が描いてあり、手と足は細く、そして顔もバランスの良い輪郭の少女が確かに画面の中で立っている。

 なんだか不気味で仕方なかった。すると突然、

 「遅いよぉ~主人寝すぎ~」

 すこしはずかしめな可愛い声で喋りだしたのだ。

 あたりを振り向いたが、誰もいない。

 やはり、スマホからか?そう思ってるとまたあの声が。

 「主人様!ここ!ここ!スマホの中!」

 どうやらこの少女が喋っているようだ。

 非現実的な事が起こっている事にいまだ納得できない俺は恐る恐る口を開く。

 「お前は...誰だ?」

 「私はサヤ。主人を守るAIだよ~よろしくっ!!」

 AI...いや、スマホにAIってどういう事なんだよコレェ!!

「ごめん、驚かせちゃって。ご主人様。昨日あなたの元にメールを届けたんだけど...」

 あっ、そういえば。

 昨日寝る前に、誰かから送られてきたメールからなんかアプリをインストールしたのだ。それがコイツなのか?

 最近の技術ってスゲーなぁ、とか思いながら俺は彼女に聞く。

「お前は俺と今日から暮らすのか?」

 すると、サヤはニコッと笑って、

「そーです!!ってわけで今日からよろしくお願いしまーす!!」

「『今日からよろしくお願いしまーす!!』とか言ってるけど、スマホ越しで暮らすのは大変だと思うんだが(スマホの中のAIと暮らすってのもどうかしてるが)。」

 するとサヤはエッヘン!と言わんばかりに自信げに言う。

「大丈夫です!私はなーんと!現実世界にも行けるんです!あと、現実世界のごはんも食べれますよ~」

 マジかよ!

 予想にもしなかった展開だ。AI少女が現実世界で人間と同じように暮らすっていうのは半分は信じてなかった。しかし彼女は俺とは違って本気だ。

「わかった。今こっちに来てくれないか?」

 その時から俺は思ったのだ。

「は~い!行っきまーす!」

 コイツと暮らそうと。

 すると、俺の近くが光りだした。やがて、サヤの姿が見えてきた。

「えっへん!どうですか~!主人さまぁ~」

「まぁ、悪くないな」

「えぇ、本当に思ってますか~?」

「えぇっ!本当だって、な?」

 するとサヤはフフッと笑って、

「わかりました。今回は信じますね。フフッ!」

 こうして、AIと高校生のドタバタな生活は始まった。

 ってか、誰だよこのAI作った奴はぁ!

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AIと共に暮らすのはどうかしている 那須胡瓜 @lemon_ramen

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