第143話

整備に当たり政府が商品を買い上げてくれる機会があったが、母としては二十五年前に自分が興した丸〆の暖簾を下ろす事になり、やり切れない思いがあったのであろう。

昭和十八年十一月三日の明治節であった。

二十五年間過ごした池田を今日別れるのである。

さようなら、幼く育ち且つ成長し子供を得た思い出の地を今日去ることになった。

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