第127話

すると今度は實に熱や咳が出て帯広の志田医院小児科(現在帯広第一病院)へ連れて行くと肺浸潤といわれる。之は私の責任である。早速志田医院へ入院して注射を打ち静養に努めさせた。

未だに元気な方だったので世話はあまり掛からなかった。

個室なので夕方になると、知っているだけの童謡唱歌を歌って聞かせると實は喜んで聞いていた。当時私の声も綺麗に部屋に流れていたが、あの子は今でも覚えているのだろうか。

一か月後に退院出来た。家に帰る否や今晩、利別の方で戦車が来ると聞き、制止するのにオーバーを着て出て行ってしまった。はらはらしたが回復に向かった子供が元気を取り戻したのであろう。


入院中、玄関に来たお獅子に頭を噛んで貰ったのが良かったのかもしれないね。

私が一生懸命、實だけの看護にかかった一カ月であったが、家の方は年の瀬で主人も母も忙しかった事であろう。

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