つづら折り回想記 ≪望郷 北の大地≫

第21話

丸〆さんへ来た父親や兄弟の無い子と言って、とても可愛がってくれ、その後毎日毎日行かぬ日は無くお茶屋さんのおばさん、姉さんと言って随分とお世話に成った。

母はあまり出掛けないのでお使いに連れて行って貰うのが嬉しくて、何処までも後を付いて行ったものである。

ある日私が何か気に入らない事があったのか、お茶屋さんの二枚屏風を倒し、ポカポカと踏んでしまった。「あれー」と驚かれる声を後に私は逃げ帰ってしまった。母には黙っていたが二三日経ってから怒らないからまた来て欲しいと言って来られ、母も始めて知り、お茶屋さんに謝るやら私は怒られるやらであった。