第19話
帯広の叔父の家での生活が始まった。大通七丁目 丸〆呉服店 店主は母の二番目の弟堀捨次郎であり番頭に野瀬信造、丁稚(北海道ではあんちゃんと呼ぶ)に勝間治吉・田中佐吉・山田久弥・成宮嘉一みな滋賀県出身の男所帯だったので母が来て助かったのである。
駅前から乗合い馬車がラッパを吹くと馬車が来た、馬車が来た、乗れ乗れ乗れ乗れと聞こえた。道幅だけの広い通りであった。
あんちゃん達は毎朝毎朝吐く息でランプのホヤを曇らせては拭いていた。寒い冬の朝でも手をかじかせながら火の気の無い板の間でひたすら拭いていた。
母はミシンで軍隊シャツ(今でいう作業着)を何枚も仕立てて夜なべで布団もこしらえていた。
佐吉どんをおだて相手にして綿入れを手伝わせ、仕上がった布団を店頭の木箱の上に積むと、すぐに売れて次から次と仕上げていた。私は遊んでもらえず森永キャラメルを五銭十銭と買って貰い傍らで仕事を見ていた。
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