第5話 魚の目

娘 小6。


私の足の裏に魚の目が出来た。

ピンセットで魚の目を取っていた私の足の裏を、娘が興味深そうに凝視している。


「なにやってるの?」


「魚の目取ってるの」


「ウオノメ?なにそれ」


「足の裏に出来るさかなの目みたいなヤツ。痛いし、放っておくとまた出来るからね」


「えっ……ママ……」


そう言って娘は目に涙を浮かべた。

なんて優しい子なのかしら。

大丈夫よ。そんなにたいしたことないよ。


「ここ(後頭部)とか、ここ(喉のあたり)に目が生えてきたら死ぬ?……記憶、無くしちゃう?わたしの事、忘れちゃう?」


娘は泣きながら抱きついてきた。


どうやら娘は、魚類の目玉を食べた人間は、魚が体内に寄生して身体のあちこちから目玉が映えてきて妖怪化すると思ったらしい。 


んなバカな。

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