第3話 過去の栄光


夏の甲子園が始まって1週間が経ち俺は、テレビの前で妙な違和感を感じていた。


選抜チームで一緒にプレーをした選手達が、

毎日特集を組まれて報道される姿を複雑な気持ちで見ていたからだ。


中学時代から俺の世代は、力のある選手が多く、皆が各チームで頭角を示していた為、怪物世代などと言われ注目の的だった。


自分の方が中学の時は上だった。

俺だって野球を続けていれば皆から注目されていたのは俺だろう。


そのようなことばかり考えていた。


そして夏の甲子園大会が終わり俺は夏休みを友人と過ごしていたある日。


同じ選抜チームで甲子園に出場していた|大河(タイガ)にお祝いの電話をした。


晴矢「甲子園お疲れ様。大活躍だったな!」


大河落ちこぼれと話すことなんてない。みんなとも話してたけどずっと遊び呆けてるお前が俺たちの世界に入ってくるな。」


その言葉だけを言われ電話を切られた。


間違った事は一つも言われてない。

本当のことを言われたからこそ怒りどころか虚しくなった。


それからそのことばかり気にしていた俺は外に出ることすら恥ずかしくなり、学校もサボりがちになった。


学校に行けばクラスメイトから、「あれ晴矢と一緒に野球やってたんだろ!すごいな!」


俺がクラスメイトの立場でも言っていた言葉だろうが、その言葉も屈辱的に感じた。


そして俺はそのまま不登校になった。


1年の時も単位ギリギリで進級してた俺が不登校になり先生からは三年への進級は難しいと言われ、ほぼ留年が確定した時学校を退学した。


それからは通信制の高校に入学する事も考えたが、どうするか悩んでるうちに18歳になり今に至る。


それからというものゲームやネットで毎日を過ごしていた俺は、人との接し方も忘れていた。


瑠夏「お兄ちゃんただいま。」


今日も妹の帰宅で夕方になったことに気づく。


どうして何も言わないのだろうと思うかもしれないが、親はかなりの過保護で、


母「晴矢の人生はまだ長いから、今のうちにゆっくり考えなさい。」


その言葉を何度も言われながら毎日を過ごしていたからだ。


勿論妹は何かしら思うところは、あるだろうがまだ中学2年でそこまで気にしてはいないのだろう。


そして今日も日課のように、昼夜逆転をした俺はネットのニュースである記事に目が付いた。


晴矢「未来人が予言?」


どうやら明日大阪で震度9の地震が来ると予言した未来人がいるらしい。


そんな奴居るわけないだろうと鼻で笑っていたがその記事に未来人のことが書かれていた。


俺はその日を境に状況が一変する。

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