悪魔の箱
よう。最近どうだい。なんだよ、そんなに気味悪がるなって。別に金をせびりに来た訳じゃねえよ。
実はな、この前「悪魔」ってやつに会ってさ。いや、名字じゃねえって。本当の悪魔だ。サタンってやつ。ま、信じたくないならいいさ。問題はそこじゃねえんだ。
俺だってビビってるなんて思われたくないから、しばらく駄弁ってたんだよ。ほら、そこのスタバで甘いコーヒーおごってやってさ。
そしたら、どうにも気に入られてしまってよ。「ここで会った記念に」って、箱を出してきたのさ。これだ、これ。って、こら、触るな。で、こっからが本題なんだがな。
あいつが出してきた箱は二つ。これと、もう一つ。見た目は全く変わらねえ。
が、問題は中身だ。一つは箱いっぱいの大きさの巨大ダイヤモンド。価値は十億は下らないって話だ。
で、もう一つは爆発している最中の爆弾だ。
いや、だからそんな顔するなって。俺だって信じられねえが、見たもんはしょうがねえだろ。いきなり人一人分くらいの爆薬持ち出して、火いつけてドカンだ。それを目の前で折り紙でも畳むみたいに箱の中に入れちまいやがったのさ。耳を当ててみたが、蓋を閉じてからはうんともすんとも言いやしない。
で、凄い速さでこの二つを混ぜて、「好きな方をくれてやる」ってよ。
なんで取ったかって? そんなもん舐められたくないからに決まってんだろ。なに、ダイヤなら売って折半だ。
おい。待てよ。頼むって、本当めちゃくちゃこええんだって。一緒に開けてくれよ。
おい、どうしたんだよグラスなんか出して。しかもこれ、結構良いワインじゃん。なんだよ、お前もなかなか乗り気じゃねえかよ。
よし。じゃあ、悪魔のくれた箱と俺達の運命に乾杯。
さあ、開けるぜ。
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