第2話 下準備が必須?

 『チリリリリリリリリイイイイイイ!!』

 

 「ん、んにゃ? 朝か」


 異世界召喚まであと五日、今日することは既に決まっている。


 まずはお金を下ろしに銀行のATMへ。最初は百万円位でいいよな。足りなくなったら足せばいいし。


 そして次に来たのは────

 

 「やっぱりデパートが一番効率的だよな」


 そう、デパート。まずは異世界での食材兼、非常食調達だ。とりあえず消費期限の長いものを次々に入れるか。

 

 缶詰も色んな種類があった方がいいよな。味に飽きると思うし・・・・・・

 

 鯖の味噌煮も美味しい、フルーツの缶詰も欲しいよな。ツナ缶も必要。あとは水。一度に買うと怪しまれるから何店舗かにかに分けるか。

 

 まあ、五年先位までならこれで持つだろう。誰にも見られないようなデパートの裏階段で、『空気圧縮』。

 

 次は野菜や果物の種だ。いちごは勿論、ぶどうやみかん、人参、大根、とりあえず目に入った種という種を片っ端から買い揃えた。

 

 またまた気づかれないように『空気圧縮』、流石に慣れてきた。今日使った金額は十八万弱、そんなにかからなかった。

 今日はこんなもんでいいだろうし、帰るか。

 

 家に着いたオレは買ったものを整理してリストを作った。まさか買い物だけで丸一日過ごすとはな・・・・・・

 

 「あと五日か・・・・・・」


 こうして二日目終了。

 

 『チリリリリリリリリイイイイイイ!!』


 三日目のスタートだ。今日は農作業用の器具やノコギリなどを買いにホームセンターへ。

 ノコギリ、スコップ、桑と色々買っているうちに量がすごくなったからとりあえず購入して空気圧縮。


 またストック用とかを色々買って空気圧縮。

 それを色んな店舗で繰り返すこと約半日、流石に昨日とは打って変わって、金額は八十万を超えていた。

 

 「意外と時間も金額もかかったな」


 家に帰って今日も買ったものをリストにまとめ、そして就寝。


 『チリリリリリリリリイイイイイイ!!』


 四日目の朝、昨日と一昨日で歩き疲れたオレは家でガイドブックを読みながらベッドでくつろいだ。


 今日は何もやる気を起こさずに、これにて一日終了。


 『チリリリリリリリリイイイイイイ!!』


 五日目の朝、今日は娯楽用に色々なものを買いに行くつもりだ。まずは銀行でお金を大量に下ろしてと。


 まず来たのは本屋だ。


 「今あるラノベや漫画をどんどん買っていこう」


 ついでに農業や作業の本も買うか。

 本も意外と高いから相当な値段になったが今日はものすごい金額を下ろしてきたから余裕。


 次に行くのは、食器屋というかダイニング用品屋さん?

 ありとあらゆるサイズの食器を買っていく。さらに箸やスプーンなども忘れず買った。


 あとゲーム屋にも寄った。

 流石に電波はないだろうからチェスやトランプなどのポードゲームやカードゲームを買う。やっぱりスマホゲームが出来ないのは惜しい・・・・・・


 そんなこんなでもう夜だ。

 家に帰ってリストにまとめて就寝。


 『チリリリリリリリリイイイイイイ!!』


 五日目になった。明後日の夜には、もうこの世界にオレはいないのか。近くなってくると少し寂しいかもな。


 気を取り直して今日もお買い物。

 本日買うのは生活用品と服と引き出しやケースである。


 まずは日本最大級の洋服屋さん。


 「デザインはあまり気にせずにサイズの合う服を買いまくるか、いややっぱり、色んなサイズ買っておこう」


 ポンポン、ポンポン服をカゴに入れていき、気付けばもう何百着、やりすぎたかな? 服屋の店員も驚きを隠せないようだ。


 会計に二時間くらいかかってしまった。(別室会計にされた・・・・・・)


 次に生活用品。歯磨き粉に歯ブラシにテッシュ、さらにはタオルにトイレットペーパーまで大量に買った。あと他にも数え切れないほどの生活用品も。


 最後にケースや引き出しだ。

 今までたくさんの物を買ったからその整理にケース等が必要なのである。


 整理整頓は大切だぞ諸君!


 とりあえず、どの位必要かがわからないから余るくらいには買っておいた。


 そして家に帰って最後のリストを作る。これで買うものは全て買ったはずだ。


 「ふぅ・・・・・・一段落かな」


 今日は寝ないで、夜な夜な荷物の整理。買ったものをジャンルごとに分けてケースにしまった。

 そして、そのケースを空気圧縮。


 これでもうやり残したことはない・・・・・・かな。

 いや、ひとつ残っていた────


 六日目・・・・・・今日はオレの実家に足を運んだ。

 友達は居ないけど、親には世話になったしな・・・・・・


 「ただいま・・・・・・」


 静かにドアを開けて中を覗く。


 「慎二?! どうしたの急に?!」


 オレの声に反応した母さんがリビングから飛び出してきた。


 「今してる仕事の上司の人と一緒に、これから外国に行ってしばらく返ってこないから、顔を出しに・・・・・・」


 まあ、仕事なんてしてないんだけどね。


 「そうなのね、一人暮らしなんだからしっかりしなさいよ!」


 「うん、じゃあそろそろ行くね」


 「もう行っちゃうの? 待って、肉じゃがあるから持っていって食べな!」


 「ありがとう」


 母さんから貰った肉じゃがの詰められた入れ物をもって実家を後にした────


 そして最終日・・・・・・


 「とうとう今日の夜か」


 昨日、母さんに貰った肉じゃがを食べながらガイドブックを読み進める。やっぱり母さんの肉じゃが美味しいな・・・・・・


 食べ終わったオレはもう一つ魔法を習得する事にした。

 その名も『ヒール』。俗に言う回復魔法で、どうやら風邪や熱も治るらしい。


 回復するイメージ・・・・・・回復するイメージ・・・・・・


 「ヒール!!」


 あ、なんだか安らかな気分、これが回復魔法か。


 そうこうしているうちにあと一時間。最後にお風呂に入って、この世界で最後の夕飯を食べる。


 「ご馳走様でした!」


 「どうでしょうか? この一週間を上手く過ごせましたか?」


 「わ! ビックリした・・・・・・」


 女神の登場だ。とうとうオレは異世界召喚されるらしい。

 ついに来たか────

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効率主義の異世界生活 なるま @Ryuki-4-30

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