第3話 Is it 日常?
【うちら】
この抽象的で何とも言えない、何事も特定することもできない言葉は、グループLINEの名前だ。クラスの女子のやつらのグループLINEだ。今どきと呼べる女子たちだ。
真紀:アドバンスやろうと思ったけど、もう無理。
この真紀とはさっき、クラスLINEで宿題の有無があるかを尋ね、あるといわれて、今からやるといった女子だろう。もうあきらめたのか。五分あれば絶対終わるだろうに。
あいむ:思ったより簡単だったよ。ほら、写真。
この一言とともにノートの写真が上がった。こんなのを写せばもう瞬殺じゃないか。
ユリリン:なんか、5組のまりのことをうちのクラスの男子が可愛いって言ってたらしいよ。天使みたいだとか何だとか。
あいむ:へぇ。かわいいけど天使ではないよね。
真紀:うん。さばさばしてるって言うか。
あいむ:でも天然ではあるよね。
ユリリン:そこは性格としても可愛い。
真紀:同意。
あいむ:ていうか、まきは宿題終わったの?
真紀:めんどいからやめた。里田だし大丈夫っしょ。
ユリリン:確かに。
里田は1-2の数学の担当だ。たしかに宿題点検は甘い。五組のまりとやらは知らないが、うちのクラスの男子とは誰だろう。自分の好みを言ってしまったり、それが女子に伝わってしまうような奴と言えば、一人しかいないか。
よくしゃべる長身でへらへらしたやつだ。あんな奴にクラスの男子がまとめられるとも思わないが、意外に人望はあるようで、クラスの第一線の男子のトップだ。というか、俺は第何線だろう。まあ、そんなことはどうでもいい。この先の【うちら】ならぬ【こいつら】の会話なんて内容が読めるし、くだらない。たしか、矢端はノボルとかいう名前で、クラスLINEに入っていたはずだ。グループLINEも探してみよう。
【1-2男子】あった。俺もいないし全員入ってるわけでもなかろうに、傲慢なグループ名だ。そんなことはどうでもいいか。内容を見てみよう。
スマホの液晶が三つのゼロを主張してくる。この点二つはなんて言うんだったか。
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